【北京時事】中国では、経済活動や市民生活を犠牲にしても新型コロナウイルスの市中感染を抑え込む「ゼロコロナ」政策の見直しに期待する声が出ていたが、当面望み薄の状況だ。北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせるかのように国内の新規感染者は急増。今秋の共産党大会を控え、リスクを伴う軌道修正のハードルは高いままだ。
 李克強首相は5日の政府活動報告で、「国内での再発防止を堅持する」と強調する一方、「感染症対策を不断に最適化する」とも言及した。全人代に先立ち複数の専門家からは、「中国の実情に即したウィズコロナの模索」を求める意見も出ていた。
 しかし、新規の市中感染者は8日まで3日連続で500人を突破。1日500人以上は、湖北省武漢市での感染爆発がおおむね収束した2020年3月以降初めての事態だ。感染が広がるオミクロン株は重症化率が低いとはいえ、「今の戦術を急いで見直す必要はない」(全国政治協商会議=政協=委員の医師)と慎重な声が強まっている。
 習近平国家主席は6日の会合で「わが国の政治制度は、対新型コロナの実践の中で顕著な優位性を示した」と自賛した。習氏の念頭には1日数万人規模の感染爆発を繰り返す民主主義国との対比があり、共産党独裁の正当性をアピールできる道具をやすやすと手放すとは考えにくい。
 政協の郭衛民報道官は3日の記者会見で「医療条件の良い先進国ですら医療逼迫(ひっぱく)が起きている。14億の人口を抱える発展途上国が有効な措置を取らなければ、結果は想像できない」と本音を漏らした。医療資源の乏しい広大な農村部を抱える中国がいったん対策を緩めれば、大きな被害を招きかねないと警戒感は根強い。 (C)時事通信社