大阪市西成区のあいりん地区で、日雇い労働者から預金を受け付けていた「あいりん貯蓄組合」(通称・あいりん銀行)の清算業務が3月末で終了する。2月末時点の「休眠口座」の預金残高は3億円を超えるが、4月以降は市に帰属する見込みだ。日雇い労働者を支援する団体は「労働者のために使って」と訴えている。
 あいりん銀行は、日雇い労働者に貯蓄を促し、「その日暮らしの生活」から脱却してもらう手段の一つとして1962年に設立された。組合長名義の預金を別の金融機関で管理する仕組みだった。簡易宿泊所の利用者でも印鑑があれば口座を開設でき、ピーク時の91年の残高は約11億5500万円に上った。
 その後、日雇い労働者の減少により取扱件数が減少し、市は2012年3月に貯蓄組合を廃止。この10年間は払い戻し業務を続けてきたが、今年2月末時点でなお約6万1000口座に約3億2600万円が残る。預金者が亡くなっていても、相続の証明書類などがあれば親族が受け取れるという。
 かつての利用者で、日雇い労働者を支援する「釜ケ崎就労・生活保障制度の実現をめざす連絡会」共同代表の山中秀俊さん(65)は「きちんとした家がなくても預金でき、貴重だった」と振り返る。休眠預金について、「もともと労働者が預けてきたもので、単なる市の財産としてではなく労働者のために使ってほしい」と話す。
 同会などは1月、路上生活者らの自立支援に充てるよう求める要望書を大阪市に提出した。市は「現時点で使途は決まっていない。設立趣旨も考慮して検討していきたい」としている。 (C)時事通信社