【ワシントン時事】新型コロナウイルスの感染拡大により世界各国で実施された学校閉鎖が、深刻な学習の遅れをもたらしている。世界銀行などは、この間に十分な教育を受けられなかった子どもたちの生涯賃金は計17兆ドル(約2000兆円)減少する恐れがあると試算。将来的な格差を広げないため、対策が急務だと訴えている。
 世銀と国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連児童基金(ユニセフ)が2021年12月に公表したリポートによると、コロナ流行が本格化した20年2月から21年8月にかけ、学校閉鎖は世界で平均224日に及んだ。その後も変異株「オミクロン株」の流行などを受け、一部では依然として閉鎖が続いている。
 とりわけ開発途上国で学校閉鎖が長期化。インターネット環境や機材の不足でリモート(遠隔)授業を行えず、児童・生徒の学力低下が著しいとみられている。世銀の教育問題責任者ハイメ・サアベドラ氏(元ペルー教育相)は、低・中所得国では簡単な文書が読めない10歳までの子どもの割合が「コロナ前でさえ50%超だったのに、70%に高まった可能性がある」と警告した。
 学校を再開しても、学習の遅れをいかに取り戻すかが大きな課題だ。サアベドラ氏は「多くの国で1年か2年、子どもたちが学習をせず、学んだことも忘れている。学校に戻ってこない可能性もある」と懸念。地域社会と連携し、不登校対策に取り組んだり、学力の実情に合わせてカリキュラムの見直しを行ったりすることが必要だと指摘した。
 約45カ国で基礎教育への支援事業を行う国際協力機構(JICA)の小林美弥子さんは「カリキュラム作りからやらないと、学習の空白解消はうまくいかない」と強調。各国の要請に応じ、カリキュラム改定や教材開発の支援に力を入れる意向を明らかにした。 (C)時事通信社