例年流行していたインフルエンザの感染者数が、2季連続で異例の低水準となっている。新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されたが、昨季と同じ低水準で推移。専門家は水際対策や日頃の感染対策が功を奏したとみる一方、ウイルスに対する免疫が落ちているとして今後の流行に警鐘を鳴らしている。
 厚生労働省が集計した全国約5000の医療機関からの患者報告数によると、1月3~30日の4週間の患者数は計228人(昨年同期266人)、1月31日~2月27日は計131人(同249人)だった。2年前の2019年同期はそれぞれ約32万人、約18万人で、昨季と今季の少なさが際立つ。
 国立感染症研究所は昨季を「流行が発生しなかったと考えられる」と結論付けており、今季も流行なしと判断する可能性が高い。
 一方、海外では今季、散発的な流行が見られた。世界保健機関(WHO)によると、マレーシアでは2季ぶりに大流行し、米国でもコロナ前の水準より低いものの、昨季より患者数が増加した。
 けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師(小児科)は日本で今季も患者数が少なかった理由として、水際対策の徹底や、マスク着用や手指消毒などのコロナ対策継続を挙げた。ただ、乳幼児に肺炎を引き起こすRSウイルスは20年にはほぼ見られなかったが、昨夏には大流行したと指摘し、「流行がないとウイルスに対する免疫は落ちてしまう」と懸念する。
 菅谷氏は「オミクロン株の登場で症状や子どもへの感染などインフルエンザとコロナの見分けがつかなくなり、診断が難しくなった」と述べ、来季に同時流行した場合の医療体制の逼迫(ひっぱく)を危ぶむ。「海外ではインフルの流行が見られており、水際対策やコロナ対策の緩和で日本も同じ状況になる可能性もある。今後も警戒してほしい」と訴えた。 (C)時事通信社