米・University of Massachusetts AmherstのAmanda E. Paluch氏らは、1日の歩数と全死亡の関連を検討した研究15件のデータを用いてメタ解析を実施。その結果、1日当たりの歩数が多いと少ない場合に比べて死亡リスクが40~53%低くなること、死亡リスク低減のために推奨される歩数は、60歳未満では8,000~1万歩、60歳以上では6,000~8,000歩と年齢によって異なることが示されたと、Lancet Public Health2022; 7: e219-e228)に発表した。

解析対象は18歳以上の4万7,000人超

 健康のために1日1万歩の歩行が推奨されているが、それを裏付けるエビデンスはほとんどない。また、死亡リスクの低減に最適な歩数は、年齢や性によって異なる可能性がある。そこでPaluch氏らは、1日の歩数と全死亡の関連を検証するメタ解析を実施した。

 過去に発表されたシステマチックレビューおよび未発表の論文から、18歳以上を対象に1日の歩数と全死亡の関連を検討した15件(発表済み7件、未発表8件)を組み入れた。対象の総数は4万7,471人(平均年齢65.0±12.4歳、女性3万2,226人、白人70%超)、死亡は3,013人(10.1/1,000人・年)だった。研究開始時期は1999年~2018年、追跡期間の中央値は7.1年〔四分位範囲(IQR)4.3~9.9年〕だった。

 主要評価項目は全死亡率とした。

 対象を1日の歩数中央値で、第1四分位群(3,553歩)、第2四分位群(5,801歩)、第3四分位群(7,842歩)、第4四分位群(1万901歩)に分けた。

 年齢、性、歩数計の装着時間、人種および民族、学歴または収入、BMI、生活習慣、慢性疾患または危険因子、全身の健康状態を調整した解析では、第1四分位群に対する全死亡の調整ハザード比(aHR)は、第2四分位群で0.60(95%CI 0.51~0.71)、第3四分位群で0.55(同0.49~0.62)第4四分位群で0.47(同0.39~0.57)と、歩数の増加に伴いリスクの低下が認められた。

60歳以上では1日8,000歩超でリスクが横ばい

 年齢別(60歳以上/未満)のサブグループ解析では、60歳未満の死亡リスクは1日当たりの歩数が8,000~1万歩に至るまで漸減したのに対し、60歳以上の場合、死亡リスクが漸減するのは6,000~8,000歩までと、年齢と歩数に有意な交互作用が認められた(交互作用のP=0.012)。一方、男女間にはそうした関連は認められなかった。

 以上から、Paluch氏らは「1日当たりの歩数が増加すると全死亡リスクは漸減し、60歳未満では8,000~1万歩、60歳以上では6,000~8,000歩で横ばいになることが示された。特に高齢者では、1日1万歩とされる一般的な基準に満たなくても、歩行によるベネフィットが得られることを示唆している」と結論。「今回の結果は、健康のために身体活動を推奨する上での指針となる」と付言している。

(比企野綾子)