Jリーグの5代目チェアマンを務めた村井満氏(62)が、任期満了に伴う15日の退任を前に時事通信社のインタビューに応じた。観客増員や経営基盤の拡大、デジタル化の推進、新型コロナウイルスへの対応など多彩な手腕を発揮した4期8年を振り返ってもらった。
 ◇神様に試された
 2014年1月にサッカー界の外部から初めてチェアマンに就任。「呼吸をするように毎日サッカーと向き合い、議論してきた」という。
 「時がたつのも忘れるくらい没頭した。非常に中身が濃く、あっという間だった。8年を振り返ると、サッカーをそしゃくしながらするめみたいにかんでいる感じ。サッカーがみんなのものであるからこそ、苦しみもやりがいもあった」
 就任時は入場者数が減少傾向にあり、財政面で危機に立たされていた。浦和の差別的な横断幕問題では初の無観客試合を決断するなど、激動の船出だった。
 「サッカーの神様が僕を試しているなと思ったが、心はぎりぎりの状態。(就任した)その年の夏休みに、サッカーが出てこないであろう北海道根室市まで行くと、そこで(スポンサー企業の)明治安田生命さんの看板を目にした。その後に出席した(同社の)支社長会で『一緒に盛り上げましょう』と言われて、僕、泣いちゃってね。そこから、J1~J3全てのタイトルパートナーになってもらうことにつながった」
 職場で大切にしたのは、何気ない会話などの「日常」。動画配信のDAZNとの大型放映権契約の端緒もそうだったという。人事畑の長い経験を生かして、あらゆる「境界の壁」を壊し、風通しの良い組織づくりを進めた。
 「ちょっとした思いつきが、だんだん雪だるまのように大きくなって歯車が回り出す。組織のヒエラルキー、部署同士、Jリーグとクラブ、それぞれの関係性の壁を壊すことが宝の山だと思うと、意図的に壊していける。何もしなければ、ただ日常は流れていくが、自分で流れを変えることが仕事だと伝えてきた」。 
 ◇村井氏在任中の主な出来事
2014年 新設のJ3開幕
      浦和で差別的横断幕。初の無観客試合の制裁
      明治安田生命とタイトルパートナー契約
  15年 J1で2ステージ制復活
  16年 DAZNと10年間2100億円の放映権契約
  17年 J1が1ステージ制に再移行
      浦和が10年ぶり2度目のACL優勝
  18年 J1で金曜夜開催を初導入
      鹿島がACL初優勝
  19年 全公式戦の観客動員が史上最多1100万人超
  20年 新型コロナウイルス大流行で公式戦中断
      プロ野球と合同で新型コロナ対策連絡会議
      無観客試合でリーグ戦再開
  21年 22年度予算で過去最高の収入320億円を計上
      いわきがJ3入会、40都道府県で計58クラブに
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