大規模ランダム化比較試験RECOVERYの結果に基づき、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者に対するステロイド療法としてデキサメタゾン6mg/日の最長10日間投与が国内外で推奨されている(関連記事「デキサメタゾンがCOVID-19重症例に有効」)。しかし、10日未満の投与で退院した場合における退院後の継続治療のベネフィットは明らかでない。米・Kaiser Permanente Los Angeles Medical CenterのCheng-Wei Huang氏らは、南カリフォルニアにおける約1,200例の処方データを後ろ向きに解析。退院後の継続投与が14日以内の再入院率/死亡率の低減に影響しなかったことをJAMA Netw Open2022; 5: e221455)に報告した。

12因子の傾向スコアを用いたIPTW法で解析

 Huang氏らは、Kaiser Permanente Southern California管内の15施設の成人COVID-19入院患者のうち、退院までのデキサメタゾン(6mg/日)投与が10日未満で、2020年5月1日~9月30日に生存退院した1,164例のデータを抽出。退院後のデキサメタゾン継続に影響する因子として、年齢、性、人種・民族、合併症、入院中のデキサメタゾン投与期間、他のCOVID-19治療、酸素療法などの12因子を用い、それぞれの傾向スコアを算出し、逆確率重み付け(IPTW)法により継続投与群と非投与群を均衡化して解析した。

 曝露因子は退院後のデキサメタゾン継続投与、主要評価項目は、退院後14日以内の全理由による再入院または死亡とした。

主解析、サブ解析ともにベネフィットなし

 1,164例の年齢は中央値55歳〔四分位範囲(IQR)44~66歳〕、男性57.9%、ヒスパニック系が多く(70.6%)、入院時酸素サポートは90.0%で行われた。

 退院時のデキサメタゾン治療期間中央値は5日間(IQR 4〜7日間)で、692例(59.5%)がデキサメタゾン6mg/日を退院後も継続した(継続群)。継続群のデキサメタゾン治療期間中央値は10日間(IQR 10〜11日間)だった。

 退院後14日以内の再入院・死亡率は、継続群が9.1%、非継続群が11.4%だった。非継続群に対する継続群における14日以内の再入院・死亡に関する調整後オッズ比(aOR)は0.87(95%CI 0.58~1.30)だった。デキサメタゾンを10日間使用した患者における感受性解析でも結果は同様(OR 0.89、95%CI 0.55~1.43)で、退院後継続投与のベネフィットは認められなかった。

 ①入院中のデキサメタゾン投与日数(1~3日:OR 0.71、95%CI 0.43~1.16、4~9日:同1.01、0.48~2.12)、②在宅酸素療法(不要:同0.91、0.53~1.59、要:同0.76、0.42~1.37)、③退院までの罹患期間(10日以上:同0.81、0.49~1.33、10日未満:同0.94、0.48~1.86)―でも結果は同様だった。

 Huang氏らは「COVID-19患者退院後のデキサメタゾン6mg/日継続投与は14日再入院率と死亡率の低下に関連していなかった。今回の知見は、COVID-19患者に対し退院後もデキサメタゾンをルーチンで使用すべきではないことを示唆している」と結論している。

(小路浩史)