Nirsevimabは、英・アストラゼネカが独自の半減期延長(YTE)技術を応用し、乳幼児のRSウイルス感染予防を目的としてフランス・サノフィと開発中の長時間作用型抗体である。このほど、nirsevimabの第Ⅲ相臨床試験MELODY(N Engl J Med 2022; 386: 837-846)および第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験MEDLEY(N Engl J Med 2022; 386: 892-894)の2件の結果が発表。nirsevimabによる良好な結果が示された。

MELODY:健康な乳児1,490人が対象

 MELODYの対象は、2019年7月~21年2月にRSウイルス感染症流行シーズンを初めて迎えた21カ国の在胎35週以上の健康な後期早産児および正期産児1,490人。nirsevimab 50mgを筋肉内注射で単回投与(体重5kg未満の乳児)もしくは100mgを単回投与(体重5kg以上の乳児)するnirsevimab群(994人)、またはプラセボを投与するプラセボ群(496人)に2:1で割り付けた。

 主要評価項目は、投与後150日間におけるRSウイルスに起因する下気道感染の発現率。副次評価項目は、投与後150日間におけるRSウイルスに起因する入院とした。

 nirsevimab群とプラセボ群の主な背景は、生後3.0カ月以下がそれぞれ58.0%、57.5%、3.1~6.0カ月が31.9%、32.7%、6.0カ月超が10.1%、9.9%、在胎期間は35~36週が13.3%、15.4%、37週以上が86.7%、84.6%、女児が46.8%、51.8%、体重は5kg未満が40.6%、38.7%、5kg以上が59.4%、61.3%などだった。

nirsevimab群は74.5%の相対リスク減少

 解析の結果、主要評価項目の投与後150日間におけるRSウイルスに起因する下気道感染の発現率はプラセボ群の5.0%に対し、nirsevimab群では1.2%で、相対リスク減少(RRR)は74.5%(95%CI 49.6~87.1%)と有意に減少した(P<0.001)。

 副次評価項目の投与後150日間におけるRSウイルスに起因する入院は、プラセボ群の1.6%に対し、nirsevimab群では0.6%で、RRRは62.1%(95%CI -8.6~86.8%)と有意差は認められなかった(P=0.07)。

 また、MELODYおよび第Ⅱb相試験の事前に規定された統合解析では、正期産児および在胎期間28週以上の早産児のRSウイルス関連の入院率は、プラセボ群の2.7%に対し、nirsevimab群では0.6%、投与後150日間のRRRは77.3%(95%CI 50.3~89.7%)と有意に低かった(P<0.001)。

 投与後361日時点の抗薬物抗体発現率は、nirsevimab群6.1%、プラセボ群1.1%だった。

 安全性については、両群ともほとんどの有害事象はグレード1~2のもので、グレード3以上のものはnirsevimab群3.6%、プラセボ群4.3%に発生した。投与後1日以内の有害事象は、nirsevimab群1.8%、プラセボ群0.6%で全てのものがグレード1だった。また、投与後7日以内の有害事象は、nirsevimab群13.4%、プラセボ群12.8%に発生した。追跡期間361日において、死亡はnirsevimab群にのみ計3例(140日目、143日目、338日目)発生した。

MEDLEY:早産児、慢性肺疾患、先天性心疾患を有する乳幼児925例が対象

 一方、MEDLEYでは、2019年7月~21年5月に初めてRSウイルス感染症流行シーズンを経験し、パリビズマブの投与対象となる在胎期間35週以下の早産児、慢性肺疾患または先天性心疾患を有する乳幼児886例を対象に、パリビズマブを対照薬にnirsevimabの安全性および忍容性を評価した。早産児コホートではnirsevimab群406例、パリビズマブ群206例、慢性肺疾患または先天性心疾患コホートではそれぞれ208例、98例を2:1でランダムに割り付けた。

 検討の結果、有害事象の発現は、慢性肺疾患または先天性心疾患コホートではnirsevimab群71.2%、パリビズマブ群73.5%、早産児コホートではそれぞれ66.0%、65.0%に認められた。また重篤な有害事象は先天性心疾患コホートではnirsevimab群19.2%、パリビズマブ群20.4%、早産児コホートではそれぞれ6.9%、5.3%に認められた。死亡例について、nirsevimab群では先天性心疾患コホートで3例、早産児コホートで2例、パリビズマブ群では慢性肺疾患または先天性心疾患コホートで1例で認められ、全例とも担当医評価ではこれらの試験薬と関連はなかった。以上の結果から、nirsevimabの安全性プロファイルは、パリビズマブと同等と考えられた。

 現在、nirsevimabが承認されている国はないものの、両試験の結果を受け、一部の国では承認申請が行われている。

(編集部)