2型糖尿病患者の主な死因は心血管疾患および腎疾患(CVRD)とされる。英・University of GlasgowのRuiqi Zhang氏らは、同国の住民データを用いて糖尿病患者のCVRD生涯リスクを検討、結果をBMC Med2022; 20: 63)に報告した。

47万人超の生涯リスクを検討

 2型糖尿病患者における心血管疾患および腎疾患リスクは個別に検討されることが多く、CVRDリスクについての検討が不十分であるとZhang氏ら。

 そこで、英国の電子カルテデータから2007年4月1日〜18年10月31日に登録された18歳以上で2型糖尿病と初めて診断された47万3,399人(平均年齢63.5歳、女性45.7%、追跡期間中央値6年)のデータを抽出。糖尿病患者の個別および心血管(CV)、CVRD 、心不全(HF)、慢性腎臓病(CKD)、心筋梗塞(MI)、脳卒中、末梢動脈疾患(PAD)を含む主な有害腎心血管イベント(MARCE)の生涯リスクを検討した。

 ベースライン時に狭心症、MI、HF、脳卒中、一過性脳虚血発作、PAD、CKDなどが認められなかった者を非CVRD群(59%)とし、各疾患の発症/イベント発生、死亡、転院の発生、または2018年10月31日まで追跡した。また、各疾患(HF、CKD、MI、脳卒中、PAD)別生涯リスクの検討を行った。

CVRDない糖尿病患者5人に4人がMARCEリスク

 解析の結果、2型糖尿病患者におけるMARCE生涯リスクは非CVRD群が80.0%で、ベースライン時に認められた各疾患別ではHFが97.1%、CKDが93.3%、MIが97.6%、脳卒中が89.2%、PADが90.8%であった。また、非CVRD群の生涯リスクを疾患別に検討したところ、CKD(54%)が最も高く、CV死亡(41%)、HF(29%)、脳卒中(20%)、MI(19%)、PAD(9%)と続いた。

 さらに、修正可能な健康危険因子(併存疾患、BMI、喫煙、HbA1c、高血圧など)とMARCE生涯リスクとの関連について人口寄与危険度(PAR)を算出した。その結果、MARCE生涯リスクは、健康危険因子の保有が1つ超で41.5%、3つ未満で23.6%、3つ以上で17.2%の低下が期待できることが分かった。

 以上から、Zhang氏らは「2型糖尿病患者のうち、5人に4人は将来的にMARCE発生リスクを有することが示唆された」と結論。早期の予防策として臨床、公衆および政策による取り組みが重要との見解を示している。

松浦庸夫