米・University at BuffaloのMichael J. LaMonte氏らは、約1,200例の閉経後女性を対象とした研究の結果、高血圧リスクに関連する口腔細菌を同定したとJ Am Heart Assoc2022年; 11: e021930)に発表した。同研究では、高血圧リスクの上昇に関連する細菌10種と低下に関連する5種が同定された。この結果を踏まえ、同氏らは「今後、口腔ケアが新たな高血圧予防策の1つになる可能性がある」としている。

腸内細菌叢との関連については過去に複数の研究で確認

 これまで腸内細菌叢が高血圧に関連することは複数の研究で示されているが、口腔細菌叢が血圧や高血圧リスクに及ぼす影響については十分に検討されていない。そこでLaMonte氏らは今回、Women's Health Initiative Observational Study(WHIOS)の参加者のうち、同研究を補完する目的で実施されたBuffalo OsteoPerio (Osteoporosis and Periodontal Disease)研究に1997~01年に登録された女性を対象として口腔細菌叢と高血圧の関連について検討した。

 解析対象はBuffalo OsteoPerio研究で歯肉縁下プラークを採取し、ベースライン時の血圧などのデータが得られた平均年齢63歳(53~81歳)の女性1,215例。平均追跡期間は10.4年〔±標準偏差(SD)5.9年、範囲0.4~19.2年〕であった。

 歯肉縁下プラークの細菌叢の組成は16SリボソームRNA遺伝子配列シークエンシングにより同定。また、対象をベースライン時の血圧値に基づき、①正常血圧〔収縮期血圧(SBP)120mmHg未満および拡張期血圧(DBP)80mmHg未満、降圧薬の使用なし、429例〕、②血圧高値(SBP 120mmHg以上またはDBP 80mmHg以上、 降圧薬の使用なし、306例)、③治療中の高血圧(医師による高血圧の診断歴があり、降圧薬による治療中、480例)-に分類した。高血圧の新規発症は、ベースライン時に治療中の高血圧がなかった①、②の女性が追跡期間中に高血圧と診断され、薬物治療が開始された場合と定義した。

占有率高いと高血圧発症リスク10~16%上昇

 検討の結果、横断解析で採取された歯肉縁下プラークにおいて245種の細菌が同定された。このうち47種でベースライン時の血圧値の程度により占有率に有意差が認められた(P<0.05)。

 また、前向き解析では高血圧の新規発症に有意に関連する15種の細菌が同定され(P<0.05)、このうち10種(Streptococcus anginosusS. salivariusFretibacterium sp. oral taxon 362Selenomonas infelixPrevotella sp. oral taxon 526Prevotella sp. oral taxon 292Megasphaera sp. oral taxon 123Capnocytophaga sp. oral taxon 903Prevotella sp. oral taxon 376S. lactarius)は高血圧発症リスクの上昇に関連し〔年齢調整後のハザード比(HR)1.10~1.16〕、5種(Neisseria subflavaBergeyella sp. oral taxon 907Gemella morbillorumLeptotrichia sp. oral taxon 212Aggregatibacter segnis)はリスクの低下に関連していた(同0.82~0.91)。

 以上を踏まえ、LaMonte氏らは「口腔内における特定の細菌の占有率は、平均10年の追跡期間中に閉経後女性が治療を必要とする高血圧を発症するリスクに関連しているとみられる」と結論。また、「今後の研究で因果関係が確認されれば、口腔細菌が高齢期の高血圧予防に向けた介入の新たな標的となる可能性がある」と述べている。

(岬りり子)