女性におけるphysical fitnessや肥満が予後に及ぼす影響を検証した報告は少なく、よく分かっていない。米・Cedars-Sinai Medical CenterのOdayme Quesada氏らは、女性の体重やphysical fitness が心血管疾患のリスクに及ぼす影響を検証し、Eur J Prev Cardiol2022年3月4日オンライン版)に発表した。

BMI、腹囲、physical fitnessで分類し、MACEおよび全死亡リスクを評価

 今回の対象は、1997~2001年に心血管疾患の徴候・症状を呈し、侵襲的冠動脈造影検査を行ってWomen's Ischemia Syndrome Evaluation(WISE)前向きコホート研究に登録した女性899人。ベースライン時のphysical fitnessのレベルと体重または腹囲(WC)の組み合わせと、その後の心血管疾患リスクとの関連を調べた。

 体重はBMI 25未満を通常、25~29を過体重、30以上を肥満(BMI 18.5未満と定義した低体重は16人だったため除外)、WCは88cm超を高値、88cm以下を低値、physical fitnessはDuke Activity Status Index(Duke活動状態指標)スコアが25(7METs超)以上をfit、25未満をunfitと定義した。この定義に基づき、対象を①通常BMI+fit群(77人)、②通常BMI+unfit群(137人)、③過体重+fit群(102人)、④過体重+unfit群(212人)、⑤肥満+fit群(93人)、⑥肥満+unfit群(271人)-に分類。最長10年追跡し、主要心血管イベント(MACE:全死亡、非致死性心筋梗塞、脳卒中、または心不全による入院の複合)の初発イベントを評価した。

 主な患者背景は年齢が57.2~61.8歳で、BMIの分類にかかわらず、unfitの集団と比べてfitの集団では高血圧糖尿病、脂質異常症の既往率が低く、喫煙率も低かった。

通常BMI+unfit群だけがリスク上昇、MACE 65%増

 解析の結果、追跡期間の中央値5.8年時点では27%にMACEが発生し、中央値8.3年時点では19%が死亡していた。年齢、喫煙、うっ血性心不全糖尿病高血圧の既往、閉経状況などを調整し、通常BMI+fit群を参照としてMACE発生のハザード比(HR)を算出すると、過体重+fit群(HR 0.79、95%CI 0.56~1.12)、過体重+unfit群(同1.31、0.81~2.14)、肥満+fit群(同0.75、0.53~1.06)、肥満+unfit群(同1.24、0.77~2.00)では有意差は認められなかったのに対し、通常BMI+unfit群では有意にリスクが上昇していた(同1.65、1.17~2.32、P=0.004)。

 一方、通常BMI+fit群を参照とした全死亡については、過体重+fit群(HR 0.62、95%CI 0.41~0.92、P=0.018)、肥満+fit群(同0.60、0.40~0.89、P=0.012)は有意にリスクが低く、有意差は認められなかったものの過体重+unfit群および肥満+unfit群ではリスク低下傾向が、通常BMI+unfit群ではリスクが高まる傾向が認められた。

BMIにかかわらず適度な運動が推奨

 また、対象をWC値の高値/低値およびphysical fitnessのfit/unfitの組み合わせで、①低WC+fit群、②低WC+unfit群、③高WC+fit群、④高WC+unfit群-に分類し、同様にMACEおよび全死亡リスクを検証した。

 その結果、低WC+fit群を参照としたMACEのリスクは低WC+unfit群(HR 1.70、95%CI 1.19~2.43、P=0.004)および高WC+unfit群(同1.66、1.06~2.60、P=0.028)で高く、高WC+fit群では有意差が認められなかった。低WC+fit群を参照とした全死亡リスクは、全ての群で有意差は認められなかったが、低WC+unfit群および高WC+unfit群で高まる傾向が、高WC+fit群では低い傾向にあった。

 以上の結果を踏まえ、Quesada氏は「心血管疾患の徴候がある女性では、肥満パラドックスにおいてphysical fitnessが重要な役割を果たす可能性が示された。一方、BMIが通常でもphysical fitnessを保たなければ予後不良である可能性が示唆されたことから、BMIにかかわらず適度な運動が推奨される」と述べている。

(編集部)