入院、外傷、中心静脈カテーテル挿入などで静脈血栓塞栓症(provoked VTE)が誘発されるリスクがある患者に対しては標準治療として3カ月間の抗凝固療法が推奨されているが、21歳未満の若年患者において6週間に短縮した治療の標準治療に対する非劣性が示された。米・Johns Hopkins All Children's HospitalのNeil A. Goldenberg氏らが、provoked VTE患者417例を対象にしたランダム化比較試験で検討した結果、6週間と3カ月間の抗凝固療法で1年以内のVTE再発および臨床的に重要な出血のリスクに有意差はなかったとJAMA2022; 327: 129-137)に発表した。

VTE再発リスクと出血リスクのバランスで検討

 同試験では、2008~21年に5カ国の42施設で急性provoked VTEと診断された21歳未満の患者を登録し抗凝固療法を開始した。診断後6週時点の画像診断で血栓の消失または不完全閉塞が確認され、抗リン脂質抗体が持続性に検出されなかった患者417例を、同時点で治療終了とする6週群(207例)と治療を3カ月間継続する群(210例)に1:1でランダムに割り付けて追跡した。このうち、追跡不能例などを除外した6週群154例と3カ月群143例の計297例(年齢中央値8.3歳、範囲0.04~20.9歳、女性49%)を主要評価項目のper-protocol解析に組み入れた。

 有効性の主要評価項目は中央判定による1年以内の症候性VTE再発、安全性の主要評価項目は中央判定による1年以内の臨床的に重要な出血とした。

 非劣性マージンは、横軸がVTE再発リスク、縦軸が出血リスクの二次元平面において、3カ月群に対する6週群の再発と出血の絶対リスク差がそれぞれ①1%と-12%、②0%と-4%、③-5%と4%のポイントで形成される曲線とした。

3カ月/6週治療で再発は0.70%/0.66%、出血は0.70%/0.65%

 解析の結果、有効性の主要評価項目の1年累積発生率は3カ月群の0.70%(95%CI 0~2.07%)に対し6週群で0.66%(同0~1.95%)、安全性の主要評価項目の1年累積発生率は3カ月群の0.70%(同0~2.06%)に対し6週群で0.65%(同0~1.91%)だった。3カ月群に対する6週群の症候性VTE再発の絶対リスク差は-0.04%(同-3.81~3.56%)、臨床的に重要な出血の絶対リスク差は-0.05%(同-3.78~3.54%)だった。

 再発リスクと出血リスクの二次元平面において、これらの絶対リスク差の95%CIで形成される長方形領域が先述の非劣性の曲線下領域内にあることから、Goldenberg氏らは「21歳未満のprovoked VTE患者において、1年以内のVTE再発リスクと出血リスクのバランスに基づき、標準の3カ月間の抗凝固療法に対する6週間に短縮した抗凝固療法の非劣性が示された」と結論している。

 なお、有害事象は6週群の26%および3カ月群の32%に発現した。各有害事象の発現頻度は4%未満で、2群間で差はなかった。最も発現頻度が高かったのは発熱(6週群1.9%および3カ月群3.4%)だった。

(太田敦子)