最大震度6強を観測した福島県沖地震は、新型コロナウイルス禍の回復途上にあった東北の観光地を直撃した。「まん延防止等重点措置」全面解除の方針が発表され、「これから」という時なのに、旅館などは被災し、大動脈の新幹線は不通が続く。再び遠のく客足に、嘆きの声が聞かれた。
 「この3連休はほぼ満室だったのに」。有数の観光地・秋保温泉(仙台市)にある旅館「茶寮宗園」の支配人、金子豊子さんは嘆息する。館内の配水管などが壊れ、施設の一部は水浸しに。休館を余儀なくされた。28日に営業再開の予定だが、「1週間から10日は余震に注意と言われている。また破損しないか心配」と不安は尽きない。
 街の人通りは少なく、旅館組合の佐藤司事務局長(54)は「お彼岸なのに閑散としている」と浮かない顔だ。宿泊予約のキャンセルはこの連休にとどまらず、4月末からの大型連休中の分にも及んだ。「コロナ禍からようやく回復し、売り上げが戻りつつあったところに追い打ちをかけた。(最大震度6強の)昨年2月の地震で被災し、修復して営業できるようになった旅館もあり、またかという気持ちだ」と話す。
 「秋保ワイナリー」の毛利親房社長(53)は「昨年は売り上げが少し戻り、順調にいけば客足も、と期待していた」と肩を落とす。東日本大震災からの復興を応援しようと、約7年前に会社を退職して開業した。今回の地震では2日後に営業を再開したが、客は激減。「新幹線(の不通)が痛い。関東から人が来ない」。それでも「大型連休までには復旧し挽回できれば」と前を向いた。
 仙台城跡にある「伊達政宗騎馬像」は地震で損傷し、今は白い囲いで覆われている。千葉県八千代市から家族旅行で訪れた岩永恵子さん(64)は「観光需要もある時期なのに残念」と話し、地元観光への影響を憂慮した。
 敷地内にある資料展示館は19日に再開したが、石垣の崩落で観光スポットを循環するバスは通行できない。担当者は「休日は80人ほど来館者がいるが、連休初日の19日は午前中で約10人」とため息。石垣や像の復旧のめどは立っていない。 (C)時事通信社