米・University of California, Los AngelesのYoon H. Lee氏らは、小児における斜視と精神疾患との関連を検討するため、19歳未満の小児1,200万5,189例を対象にした横断研究を実施した。その結果、眼疾患のない者と比較して、斜視のある者は不安障害、統合失調症、双極性障害、うつ病性障害を有するリスクが高いことが明らかになったとJAMA Ophthalmol3月10日オンライン版)に発表した。

最大のデータベースを用いて多様な小児を対象

 これまでの研究によって、斜視の患者は精神疾患を発症するリスクが高い可能性があることが示唆されている。しかし、ほとんどの研究が小規模で、特定の地域の患者を対象としたものである。

 そこでLee氏らは、利用可能な最大の民間医療保険請求データベースであるOptumLabs Data Warehouseを用いて、年齢、人種、民族、地域が多様な米国内の小児集団における斜視と精神疾患の関連性を調査する横断研究を行った。

 対象は、2007年1月1日〜17年12月31日のデータに含まれる19歳未満の小児計1,200万5,189例〔男子609万5,523例(50.8%)、平均年齢8.0±標準偏差(SD)5.9歳〕。そのうち斜視の診断を受けていた35万2,636例を斜視群(平均年齢8.0±SD 4.5歳)、眼科疾患の診断を受けていなかった1,165万2,553例を対照群(同8.0±5.9歳)とした。

 斜視または精神疾患の患者は、国際疾病分類第9改訂臨床修正版(ICD-9-CM)または同第10改訂臨床修正版(ICD-10-CM)の診断コードに基づき、対応する疾患の請求があった患者とした。精神疾患は不安障害、うつ病性障害、物質使用障害または中毒性障害、双極性障害(双極性および関連障害)、統合失調症統合失調症スペクトラムおよびその他の精神病性障害)の5つとした。除外基準は、医療保険未加入、18歳以上、初回請求から通算6カ月未満、斜視以外の眼疾患を持つ者とした。

 2018年12月1日~21年7月31日のデータについて統計解析を行い、斜視群と対照群における人口統計学的特徴と主要評価項目である精神疾患の請求の有無を検討した。

斜視の小児オッズ比は不安障害2.01、統合失調症1.83

 解析の結果、対照群に比べて斜視群は物質使用障害または中毒性障害を除く全ての精神疾患の有病率が高かった。対照群に対する斜視群における精神疾患の調整オッズ比(aOR)は、不安障害が2.01(95%CI 1.99〜2.04、P<0.001)、統合失調症が1.83(同1.76〜1.90、P<0.001)、双極性障害は1.64(同1.59〜1.70、P<0.001)、うつ病性障害は1.61(同1.59〜1.63、P<0.001)、物質使用障害または中毒性障害は0.99(同0.97〜1.02、P=0.48)であった。

 さらに、斜視群を内斜視(52.2%)、外斜視(46.3%)および上斜視(12.5%)に分類して精神疾患との関連を検討。斜視の診断が複数ある者は、それぞれのサブタイプに含めた。

 斜視の各タイプと不安障害、統合失調症、双極性障害、うつ病性障害との間にはいずれも中程度の関連が認められた。ORは、内斜視と双極性障害との関連が1.23(95%CI 1.17〜1.29、P<0.001)と最小で、外斜視と不安障害との関連が2.70(同2.66〜2.74、P<0.001)と最大であった。

 一方、外斜視では物質使用障害または中毒性障害のORが低下し(0.92、95% CI 0.87〜0.95、P<0.001)、内斜視(同0.97、0.93〜1.01、P=0.12)および上斜視(同0.97、 0.90〜1.04、P=0.38)と物質使用障害または中毒性障害との間に関連は認められなかった。

 以上から、眼疾患のない小児と比較して、斜視のある小児は不安障害、統合失調症、双極性障害、うつ病性障害を有するリスクが高いことが明らかになった。

 今回の研究の意義についてLee氏らは、「小児における精神疾患と斜視の関連性を理解することで、斜視のある小児の精神疾患の診断と管理が改善される可能性がある」と述べている。

(今手麻衣)