英・アストラゼネカは、PARP阻害薬オラパリブが根治的な局所治療および術前または術後補助化学療法を完了した生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がん患者に対する術後補助療法において、米食品医薬品局(FDA)から3月11日付で承認されたと発表した。今回の承認は、第Ⅲ相ランダム化比較試験OlympiAの結果に基づくもの(関連記事「術後オラパリブ、BRCA陽性早期乳がんで著効」。

主要評価項目のiDFSはオラパリブ群で42%リスク低下

 同試験の結果は、昨年(2021年)の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で発表された。対象は①生殖細胞系列にBRCA1/2遺伝子変異陽性またはその疑い、②HER2陰性(ホルモン受容体陽性またはトリプルネガティブ)、③Ⅱ~Ⅲ期または術前補助化学療法により病理学的完全奏効が未達成(non-pCR)-の乳がん患者1,836例。補助化学療法の実施状況に基づき層別化し、オラパリブ300mgを1日2回経口投与するオラパリブ群(921例)とプラセボ群(915例)に1:1でランダムに割り付け、1年間治療した。

 主要評価項目は無浸潤生存(iDFS)、副次評価項目は遠隔無再発生存(DDFS)、全生存(OS)、安全性などであった。  

 登録は2014年6月5日~19年5月28日に実施し、2020年3月27日のデータカットオフ時点〔追跡期間の中央値はintention-to-treat(ITT)コホートが2.5年、成熟コホートが3.5年〕で、284件の浸潤疾患または死亡が確認された。 解析の結果、3年時のiDFS率はプラセボ群の77.1%に対し、オラパリブ群では85.9%〔群間差8.8%ポイント、95%CI 4.5~13.0%ポイント、浸潤疾患または死亡の層別ハザード比(HR)0.58、99.5%CI 0.41~0.82、P<0.001〕と有意差が示された。

OSリスクも32%低下

 さらに、今年3月に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)Virtual Plenaryにおいて、OlympiA試験の副次評価項目の1つであるOSの成績が発表。プラセボ群に対するオラパリブ群のOSのHRは0.68(98.5%CI 0.47~0.97、P=0.009)で、死亡リスクが32%低かった。

 3年時OSはオラパリブ群92.8%、プラセボ群89.1%、4年時OSはそれぞれ89.8%、86.4%といずれもオラパリブ群で高かった。安全性や忍容性プロファイルに関する新たな懸念は報告されなかった。

 乳がんに対するオラパリブは、これまで米国、欧州(局所進行性乳がんを含む)、日本を含む複数の国・地域において、化学療法による治療歴がある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がん患者に対して承認されている。今回初めて、米国において根治的な局所治療および術前または術後補助化学療法を完了した生殖細胞系列BRCA変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がんの術後療法で承認されたことになる。  

(編集部)