米・Brigham and Women's Hospital/Harvard Medical SchoolのAjinkya Pawar氏らは、静脈血栓塞栓症(VTE)による入院後に90日を超える長期の抗凝固療法を受けた患者6万4,000例超を対象に、経口抗凝固薬の種類別に有害転帰の発生率を比較。その結果、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)アピキサバンの90日超投与群ではワルファリンの90日超投与群と比べてVTE再発による入院率が有意に低かった一方、大出血による入院率は有意差がなかったとJAMA2022; 327: 1051-1060)に発表した。

アピキサバン vs. ワルファリン以外はVTE再発率に有意差付かず

 Pawar氏らは、米国の公的医療保険(メディケア、2009~17年)および2種類の民間医療保険(Optum Clinformatics Data MartおよびIBM MarketScan、2004~18年)の請求・処方データベースを検索。VTEにより入院し、米国で経口VTE治療薬として最も使用頻度が高いアピキサバン、リバーロキサバン、ワルファリンのいずれかを90日超処方された成人患者6万4,642例〔アピキサバン群9,167例(平均年齢71.3歳、女性59.9%)、リバーロキサバン群1万2,468例(同69.3歳、56.7%)、ワルファリン群4万3,007例(同69.5歳、59.1%)〕を抽出し、有害転帰の発生率を比較する後ろ向きコホート研究を実施。主要評価項目はVTE再発による入院および大出血による入院とした。

 解析対象を、最初の90日間の投与終了時点から投与中止、主要評価項目の発生、死亡、各医療保険の登録抹消または利用可能なデータの終了のいずれか最も早い時点まで追跡した。追跡期間の中央値は、VTE再発が109日(四分位範囲59~228日)、大出血が108日(同58~226日)だった。

 VTE再発による入院の発生率(1,000人・年当たり)は、アピキサバン群で9.8例(95%CI 6.8~13.6例)、リバーロキサバン群で11.6例(同8.5~15.4例)、ワルファリン群で13.5例(同10.2~17.6例)。ワルファリン群と比べてアピキサバン群で有意に低かった〔ハザード比(HR)0.69、95%CI 0.49~0.99〕。一方、リバーロキサバン群とワルファリン群(同0.87、0.65~1.16)、アピキサバン群とリバーロキサバン群(同0.80、0.53~1.19)の比較では有意差がなかった。

大出血による入院率では、新旧薬、DOAC間で有意差なし

 大出血による入院の発生率(1,000人・年当たり)は、アピキサバン群で44.4例(95%CI 37.7~51.9例)、リバーロキサバン群で50.0例(同43.3~57.4例)、ワルファリン群で47.1例(同40.7~54.3例)だった。アピキサバン群とワルファリン群(HR 0.92、95%CI 0.78~1.09)、リバーロキサバン群とワルファリン群(同1.07、0.93~1.24)、アピキサバン群とリバーロキサバン群(同0.86、0.71~1.04)のいずれの比較でも有意差はなかった。

 以上を踏まえ、Pawar氏らは「VTEによる入院患者において、アピキサバン90日超投与ではワルファリン90日超投与と比べてVTE再発による入院率が有意に低下した一方で、大出血による入院率は有意差がなかった。また、アピキサバンとリバーロキサバン、リバーロキサバンとワルファリンの比較では、いずれの転帰についても有意差は認められなかった」と結論している。

(太田敦子)