高齢者が受け取る公的年金の制度が4月に大きく変わる。受給開始時期の選択肢を広げ、上限を75歳に引き上げるほか、一定以上の収入がある60代前半の年金を減額する仕組みを見直し、これまでより多く受け取れるようにする。高齢者の就労を促して社会の支え手を増やすとともに、老後の保障を厚くするのが狙いだ。
 医療関連では、体外受精などの不妊治療を公的医療保険の対象に追加。一定期間に繰り返し利用できる「リフィル処方箋」も導入される。
 ◇受給月額、最大84%増に
 「人生100年時代」を見据え、働く高齢者が増える中、政府は高齢者の勤労意欲の向上や経済基盤の拡充のため、年金制度の見直しを進めている。
 公的年金は原則65歳で受給が始まるが、現行制度では60~70歳から選ぶことが可能。前倒しすれば月々の年金額が減り、遅らせれば増える仕組みで、その選択肢を60~75歳まで広げる。受取時期を先送りすれば月額0.7%増え、前倒しすれば同0.4%減る。このため受給開始が75歳だと65歳に比べて月額が84%増える。
 60歳以降も厚生年金に加入して働き、一定以上の収入があると年金が減額される「在職老齢年金」も4月から改正。現在、60~64歳では賃金と厚生年金の合計が「月28万円」を超えた場合、超過分の半分を年金額から減らす仕組みだが、「就労意欲をそぐ」との批判を受け、65歳以上と同じ「月47万円」まで基準額を引き上げる。
 公的年金見直しに合わせ、私的年金である企業年金や個人年金の年齢要件も引き上げて、老後の資産形成を後押しする。
 ◇体外受精など保険適用に
 医療分野では不妊治療の保険適用が4月から広がる。体外受精や顕微授精などの場合、女性では治療開始時点で43歳未満が対象となる。費用は原則3割負担に軽減され、治療を受けやすくなる。
 一定期間に繰り返し利用できる「リフィル処方箋」は1枚で最大3回までの使用が可能だ。症状が安定している慢性疾患の患者らを念頭に医師が判断。薬をもらうためだけに通院する機会が減ることが期待される。 (C)時事通信社