堀内詔子ワクチン担当相が31日に退任する。兼務する五輪担当相ポストが設置期限を迎え、閣僚数が20から19に減るためだ。ただ、新型コロナウイルスのワクチン3回目接種は道半ば。岸田文雄首相には他の閣僚を外し、堀内氏を留任させる選択肢もあっただけに、野党からは首相が口にするワクチン「重視」を疑問視する声も出ている。
 「まずは3回目接種に全力で取り組む」。4月からワクチン相を兼ねる松野博一官房長官は30日の記者会見でこう強調した。だが、野党の疑問への見解を問われると「首相の判断」と明言を避けた。
 2021年1月に菅義偉首相(当時)は、接種加速を狙って閣内にワクチン担当を設置。白羽の矢が立った河野太郎規制改革担当相(同)は持ち前の「突破力」で1日100万回接種を実現した。政権を継いだ岸田首相はワクチン担当を担当相に「格上げ」した上で堀内氏を抜てきしたが、堀内氏は当選回数が浅く、当初から手腕を不安視する声があった。
 懸念は的中し、堀内氏は国会審議で野党の質問に立ち往生する場面が目立った。見かねた河野氏がツイッターで「私の時と比べてワクチンチームの人数が激減。これでは私だって仕事できない」などと擁護。側面支援のため、堀内氏と並んで政府広報で接種を呼び掛けたこともあった。
 そもそも五輪相の閣僚枠が今月末に消滅するのは昨年10月の組閣時から分かっていた。政府内には、五輪相に首相がワクチン相を兼務させた背景として、ワクチン接種をそれほど重視していなかった可能性を指摘する向きもある。首相周辺は「組閣当時はコロナ禍を乗り切ったと思っていたのだろう」と語る。
 堀内氏を閣内に残さなかったことについても、「岸田派の堀内氏なら切りやすいという派閥の論理」(竹下派中堅)が見え隠れする。首相は16日の会見で4月以降について「ワクチン軽視の印象を持たれてはならない。しっかりした体制を考えていきたい」と力説していたが、ふたを開ければ単に松野長官の担務を増やしただけだった。
 30日に公表された国内の3回目接種率は40.5%。先進7カ国(G7)では最下位の米国に次いで2番目に低い。4回目接種への準備も始まっている。
 松野長官は沖縄基地負担軽減や拉致問題の担当を兼ねており、政府内からは「担当が多すぎる」との声も漏れる。立憲民主党の小川淳也政調会長は「堀内氏は最重要閣僚の一角であるはず。お役御免が適切か非常に疑問だ」と語っている。 (C)時事通信社