円形脱毛症(alopecia areata;AA)に対するブレークスルーセラピーとして米食品医薬品局(FDA)から指定を受けているヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬バリシチニブ。BRAVE-AA研究グループ/米・Yale School of MedicineのBrett King氏らは、バリシチニブの2件の第Ⅲ相臨床試験結果をN Engl J Med2022年3月26日オンライン版)に報告。AAに対してプラセボ群と比べてバリシチニブ群で有意な発毛効果が示されたことを明らかにした(関連記事「円形脱毛症にJAK阻害薬が毛髪再生効果」)。

10カ国の重症AA患者1,200例で検討

 AAは頭髪、眉毛およびまつげの急速な脱毛を特徴とする自己免疫疾患で、治療法は限られている。バリシチニブは経口のJAK1および2の選択的可逆的阻害薬で、AAの病因に関与するサイトカインシグナル伝達を阻害する可能性がある。

 同薬の第Ⅲ相臨床試験として多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験BRAVE-AA1(第Ⅱ/Ⅲ試験)およびBRAVE-AA2が実施され、今回、試験結果が報告された。

 試験は、10カ国169施設において、AAの重症度評価ツールSeverity of Alopecia Tool(SALT)スコア50以上(頭髪脱毛が50%以上)で、重症のAAの罹患期間が6カ月以上8年未満の成人AA患者を、バリシチニブ4mgの1日1回投与(4mg投与群)または2mgの1日1回投与(2mg投与群)およびプラセボ群に3:2:2でランダムに割り付け、有効性と安全性を評価した。主要評価項目は投与後36週目のSALTスコア20以下の達成とした。

 BRAVE-AA1では第Ⅲ相試験部分の4mg投与群は281例、2mg投与群は184例、プラセボ群は189例で計654例、BRAVE-AA2ではそれぞれ234例、156例、156例の計546例、36週間の投与を完遂したのはそれぞれ598例(91.4%)、490例(89.7%)だった。年齢は男性18〜60歳、女性18〜70歳。AAの平均罹患期間はBRAVE-AA1で3.6±3.9年、BRAVE-AA2では4.3±4.9年だった。

バリシチニブ4mg投与群および2mg投与群で有意な改善

 投与後36週目にSALTスコア20以下を達成した患者はBRAVE-AA1でバリシチニブ4mg投与群38.8%、バリシチニブ2mg投与群22.8%、プラセボ群6.2%で、BRAVE-AA2ではそれぞれ35.9%、19.4%、3.3%であった。主要評価項目を達成した患者のほとんどは36週目でSALTスコア10以下であった。

 BRAVE-AA1ではバリシチニブ4mg投与群とプラセボ群の差は32.6%ポイント(95%CI 25.6〜39.5%ポイント)、2mg投与群とプラセボ群の差は16.6%ポイント(同9.5〜23.8%ポイント)だった(いずれもP<0.001)。BRAVE-AA2では、それぞれ32.6%ポイント(同25.6〜39.6%ポイント)、16.1%ポイント(同9.1〜23.2%ポイント)だった(いずれもP<0.001)。

有効性・安全性評価のため、さらに長期試験を進行中

 King氏らは「重症のAA患者を対象とした2件の第Ⅲ相臨床試験の結果から、投与36週目において、バリシチニブはプラセボよりも有意な発毛効果を示すことが認められた」と結論している。

 安全性に関しては、上気道感染症、頭痛、鼻咽頭炎、にきび、尿路感染症、血中クレアチンキナーゼ上昇といった有害事象がいずれかのバリシチニブ群の5%以上に発現した。また、バリシチニブ群では、帯状疱疹がプラセボ群よりもわずかに多く、約25%の患者にLDLコレステロール値の上昇(130mg/dL以上)、約40%にHDLコレステロール値の低下(60mg/dL以下)が観察された。こうしたことから、同氏らは「AAに対するバリシチニブの有効性と安全性を評価するには長期試験が必要。本試験は進行中であり、最大200週間まで継続予定」と付言している。

(宇佐美陽子)