2021年度の金融市場は、米欧の金融引き締めやロシアによるウクライナ侵攻に揺れた。東京市場では円の対ドル相場が約1割下落。夏場に3万円台を回復した日経平均株価は結局、前年度末に比べて5%弱下げた。長期金利は上昇(債券価格は下落)し、新型コロナウイルス禍で足踏みを続ける景気への悪影響を恐れた日銀は、上昇を抑え込む異例の措置に打って出た。
 31日の東京外国為替市場の円相場は日銀の確定値で1ドル=121円63~65銭。1年前から11円近く円安・ドル高が進んだ。物価が高騰した米欧の中央銀行がインフレを抑えるため金融引き締めに動いたのに対し、日銀は大規模緩和を維持。日米金利差拡大などが意識され、利回りの高いドルを買って円を売る動きが進んだ。
 円安は輸出企業にはプラスだが、エネルギーや原材料などの輸入価格上昇を通じ、多くの企業や家計にとって打撃となる。原油高などで日本の貿易赤字は定着しつつあり、4月以降も「円安・ドル高の方向性は変わらない」(資産運用会社)との声が上がる。
 一方、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.210%と、前年度末の0.120%から大きく上昇した。世界的に長期金利が上昇基調をたどり、東京市場にも波及。日銀は3月29日から31日まで、利回り0.25%で国債を無制限に買い続ける異例の「連続指し値オペ」を初めて実施した。
 31日の日経平均株価の終値は2万7821円43銭と、1年前の2万9178円80銭から1300円超下落した。菅義偉前首相の退陣表明後、政治的な閉塞(へいそく)感が打ち破られるとの思惑から昨年9月半ばに3万円を超えたが、その後は米国の金融引き締めへの警戒感が影を落として低迷。ウクライナ危機で3月上旬に2万5000円を割り込む場面もあった。
 株式市場の関係者は「ウクライナ情勢など不透明要因があり、不安定な相場は当面続く」(大手証券)とみている。 (C)時事通信社