広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を浴びた人に1日、新たな認定基準に基づき、被爆者健康手帳が配られた。手帳が届き「ありがたい」と喜ぶ声が上がる一方、特定疾病などの要件を満たさず対象外となった人は「不公平を感じる」と基準の見直しを求めた。
 広島市安佐北区の佐々木久男さん(82)は5歳だった当時、親戚宅の庭で遊んでいた時に黒い雨を浴びた。白内障の手術歴があり、現在は糖尿病で月に1回程度、通院している。
 1日午後、書留で届いた手帳を手にした佐々木さんは「ありがとうございます」とつぶやき、「うれしい。やっといただけた。ありがたいです」とかみしめるように語った。「手帳を大切にして、治療に専念させてもらえれば」と話した。
 同市安佐南区の今中康昭さん(78)は、1歳半の頃に黒い雨を浴びたが、認定要件の病気は患っていない。担当者から認定は難しいと伝えられ申請を断念したといい、「不公平を感じる。数が少なければ切り捨ててもいいのか。黒い雨に遭った人には手帳を交付してほしい」と訴えた。
 長崎では、原爆投下時に国が定める地域外にいた「被爆体験者」は被爆者と認定されていない。救済の対象外となっており、厚生労働省は長崎県などと協議を続けている。 (C)時事通信社