発足からまもなく半年を迎える岸田政権で、松野博一官房長官が存在感をじわりと強めつつある。新型コロナウイルスのワクチン担当相を今月から兼務し、ウクライナ避難民支援の取りまとめなどの重責も担う。2日は、政権が重視する沖縄を訪問。政権の浮沈を左右しかねない問題が山積し、内閣の番頭役として力量を問われそうだ。
 沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる松野長官は2日、沖縄本島中部にある米軍キャンプ瑞慶覧の返還予定地などを視察。また、沖縄市の桑江朝千夫市長と同市役所で会談した。
 会談後、松野長官は記者団に「日米同盟の抑止力を維持しながら、基地負担軽減に取り組む」と強調。その上で、米軍普天間飛行場移設問題について「唯一の解決策が辺野古移設に向けた工事を着実に進めていくことだ」と理解を求めた。
 沖縄は今年、首長選が相次ぐ「選挙イヤー」。関係者によると、松野長官の沖縄入りは24日投開票の沖縄市長選のテコ入れを図る狙いもあるという。同市長選は与野党一騎打ちの構図。勝利すれば、政権安定化の分水嶺(れい)と目される夏の参院選や、普天間問題の行方を左右する9月の知事選に向けて大きな弾みになるからだ。
 松野長官は現在、基地負担軽減担当に加えて拉致問題担当も兼務。ウクライナ情勢の緊迫化を受けた避難民支援や原油高騰対策に関する政府会議の議長も務めている。1日からはコロナ対策のカギを握るワクチン担当相も担い、政権の重要課題を託されるケースが増えている。
 昨年10月の就任当初は、松野長官を「存在感がない」などとやゆする声もあったが、今では「担務が集中するのは首相の信頼の表れ」(自民3役経験者)との評もある。松野長官は1日の記者会見で、自身の担当を列挙し、「大変身の引き締まる思いだ。職責を果たせるよう全力を尽くす」と語った。
 そんな松野長官にとって悩みの種は与党内の不協和音だ。2022年度補正予算編成をめぐっては、自民、公明両党間に温度差がある。自公間のパイプの細さが指摘される中、松野長官には公明党との調整役も期待されている。 (C)時事通信社