【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは1日、年次報告書を公表した。新型コロナウイルス禍で石炭密輸出などが減少した一方、核や弾道ミサイル開発を継続していると指摘。サイバー攻撃を多用し、機密情報や技術、暗号資産(仮想通貨)を獲得している実態も示した。
 報告書ではサイバーセキュリティー会社からの情報として、北朝鮮のハッカー集団「キムスキー」が、偽サイトに個人情報を入力させる「フィッシング」の手口を使い、国際原子力機関(IAEA)に攻撃を仕掛けたと指摘。また、韓国の原子力研究院の内部ネットワークに侵入したり、韓国航空宇宙産業社の技術データを盗み取ろうとしたりしたという。
 また、ある加盟国によれば、北朝鮮は2020年から21年半ばにかけ、北米、欧州、アジアの少なくとも三つの暗号資産(仮想通貨)取引所から計5000万ドル(約61億円)以上を奪った。
 北朝鮮は先月、過去最長の射程を持つとみられる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射。報告書は、全土で核関連施設の修復や建設が進んでおり「(核抑止力を強化するとした)21年1月の第8回朝鮮労働党大会で示された目標に従った動きとみられる」と分析した。
 制裁決議で禁じられている石炭輸出については、20年9月~21年8月に少なくとも64回にわたり、計55万2400トンが中国の領海や港に運ばれた。年間50万バレルまでと定められた石油精製品の輸入は、正式に報告された量は上限の7.67%と「歴史的な低さ」だったが、未報告の取引が18回あり、積載率90%と仮定すると21年後半には上限を超えた計算になるという。 (C)時事通信社