新型コロナウイルスワクチンをめぐり、国が4回目接種の準備を進めている。3回目までと同様に無料で行う方針で、夏ごろに始まる可能性がある。厚生労働省は対象として3回目接種者全員を想定するが、「高齢者らの重症化予防を目的とすべきだ。一律接種は不要」と指摘する専門家もいる。
 コロナワクチンは3回目接種から一定期間たつと、オミクロン株への発症予防効果などが低下する傾向がある。4回目接種は、3回目から3~6カ月以上経過した高齢者らを対象にイスラエルや英国、米国などで始まった。接種後に発症・重症化予防効果が上がったとの報告も出ている。
 厚労省は3月下旬、自治体に対し、3回目を受けた全員が対象となることを想定して5月下旬をめどに接種準備を終えるよう通知した。間隔は3回目から「6カ月以上」を基本にしつつ、海外動向を見て検討を進める。
 ただ4回目接種の一律実施には疑問の声も多い。データや知見が乏しいためで、厚労省専門家組織も「有効性・安全性の情報を収集し、対象者や開始時期を検討する必要がある」と指摘する。
 北里大の中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学)は「対象は高齢者や基礎疾患があるなど重症化リスクが高い人に限るべきだ」と強調する。中山氏によると、体内では感染やワクチン接種による「免疫の記憶」を基に、免疫細胞がウイルスに感染した細胞を破壊する「細胞性免疫」が誘導される。接種は記憶をつくり重症化を防ぐのが目的だ。コロナワクチンの場合、記憶は1、2回目の接種でつくられ、3回目は記憶を呼び戻す意義がある。
 中山氏は「3回の接種で免疫効果は十分だ」とした上で「4回目は重症化しやすい高齢者らには効果があるが、50代以下には不要では」と指摘。3回目接種率が約4割にとどまるとして「まずは若い人たちの3回目接種を優先した方がいい。それが進まないと『第6波』の残り火が消えず、感染が再拡大する恐れがある」と話している。 (C)時事通信社