仏・Université Paris Est CréteilのLaura Pina Vegas氏らは、乾癬(PsO)および乾癬性関節炎(PsA)に用いる生物学的製剤の長期継続性を評価するため、PsO患者1万6,892例とPsA患者6,531例を対象とした大規模コホート研究を実施。その結果、両疾患の治療継続率はTNF阻害薬投与群と比べIL-17阻害薬投与群で高く、PsAの治療継続率はIL-12/23阻害薬投与群に比べIL-17阻害薬群で高かったと、JAMA Dermatol2022年3月23日オンライン版)に発表した。

大規模なフランス健康保険データベースを使用

 PsOおよびPsAの治療選択肢は、生物学的製剤の出現によって大きく発展した。しかし、臨床試験は主に12~16週間のプラセボ対照比較試験であるため、生物学的製剤の相対的な長期有効性や安全性の評価にはしばしば不十分な点がある。

 そこでPina Vegas氏らは、PsOおよびPsAに対する第一選択薬として使用される生物学的製剤の長期有効性を検証する大規模コホート研究を行った。

 対象は、2015年1月1日~19年5月31日にフランスの健康保険制度の行政医療データベースであるSystème National des Données de Santéに登録され、新たに生物学的製剤使用を開始した(登録前の1年間に生物学的製剤を処方されていない)PsO患者1万6,892例〔平均年齢48.5±標準偏差(SD)13.8歳、男性9,152例(54.2%)〕およびPsA患者6,531例〔平均年齢49.1±SD 12.8歳、女性3,565例(54.6%)〕。PsO患者のうち1万199例(60.4%)がTNF阻害薬、3,982例(23.6%)がIL-12/IL-23阻害薬、2,711例(16.0%)がIL-17阻害薬を使用し、PsA患者のうち4,974例(76.2%)がTNF阻害薬、803例(12.3%)がIL-12/23阻害薬、754例(11.5%)がIL-17阻害薬を使用した。2019年12月31日まで追跡し、2021年6月1日~10月31日に解析した。

 均質性の高いコホートにするため、PsAの指標日の過去1年以内に入院した患者をPsOコホートから、PsOの指標日の過去1年以内に入院した患者をPsAコホートから除外し、さらに少なくとも6カ月治療を継続しなかった患者も除外した。

 主要評価項目である治療継続性は、生物学的製剤の投与開始から中止までの期間と定義し、Kaplan-Meier法を用いて推定した。生物学的製剤のクラスによる継続性の比較には、傾向スコアで重み付けしたCox比例ハザード回帰モデルを用い、時間依存変数を調整した。

IL-17阻害薬群でも継続率は経時的に低下

 解析の結果、追跡期間中に一次治療を中断した患者は、PsOコホートの8,185例(48.5%)、PsAコホートでは3,744例(57.3%)だった。

 治療開始1年目における生物学的製剤の継続率は、PsOコホートで76.6%、PsAコホートで72.7%だった。PsOでは2年目53.4%、3年目40.9%、PsAでは2年目49.2%、3年目36.2%と経時的に低下した。

 逆確率重み付けと調整後、IL-17阻害薬群の継続率は、PsOコホートではTNF阻害薬群に対してより高く〔重み付けハザード比(HR)0.78、95%CI 0.73〜0.83〕、PsAコホートではIL-12/23阻害薬群に対してより高かった(同0.69、0.55〜0.87)。

 一方、PsOコホートではIL-17阻害薬群とIL-12/23阻害薬群に有意差は認められなかった(重み付けHR 1.02、95%CI 0.94〜1.10)。

 また、PsOコホートにおけるIL-12/23阻害薬群はTNF阻害薬群よりも継続性が高かったが(重み付けHR 0.76、95%CI 0.72〜0.80)、PsAコホートでは両群に差はなかった(同1.03、0.89〜1.19)。

 以上から、PsOとPsAに対するIL-17阻害薬はTNF阻害薬よりも継続性が高かった。PsAではIL-17阻害薬がIL-12/23阻害薬よりも高い継続性を示し、PsOでは差は認められなかった。一方で、生物学的製剤の3年後の継続率はいずれも低かった。

 今回の結果についてPina Vegas氏らは「医師が第一選択薬の決定を最適化するのに役立つと考えられる。しかし、3つの生物学的製剤の継続率は低く、PsOおよびPsAの長期的なコントロールには複数の治療ラインが必要であることが示唆された」と結論している。

(今手麻衣)