中国医科学アカデミー/北京協和医学院のLiyun He氏らは、ランダム化比較試験(RCT)76件・10万例超が対象のシステマチックレビューとメタ解析を行い、GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)の使用に伴う胆囊・胆道疾患のリスクを検討。その結果、特に高用量、長期間、体重減少目的での使用により胆囊・胆道疾患のリスクが上昇したとJAMA Intern Med2022年3月28日オンライン版)に発表した。製品別の解析では、リラグルチドやデュラグルチドで有意なリスク上昇との関連が認められた。

1.4倍のリスク上昇

 He氏らは、医学データベースMEDLINE、PubMed、EMBASE、Web of Science、Cochrane Libraryに2021年6月30日までに掲載された論文を検索。成人を対象にGLP-1 RAを用いた治療群とプラセボまたはGLP-1 RA以外の薬剤を用いた対照群との比較を行い、胆囊・胆道関連の有害事象を報告した76件のRCTを抽出し、計10万3,371例(平均年齢57.8歳、女性40.5%、平均BMI 32.6、平均HbA1c 7.8%)を解析に組み入れた。

 主要評価項目は胆囊・胆道疾患の複合、副次評価項目は胆道疾患、胆道がん、胆囊摘出術、胆囊炎、胆石症などとした。ランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いてプールした相対リスク(RR)を算出し、研究間の異質性(I2)を評価した。

 解析の結果、GLP-1 RA治療群では対照群と比べて胆囊・胆道疾患の複合リスクが有意に上昇した(RR 1.37、95%CI 1.23~1.52、P<0.001、I2=0%)。

 また、副次評価項目とした胆石症(RR 1.27、95%CI 1.10~1.47、P=0.001、I2=0%)、胆囊炎(同1.36、1.14~1.62、P<0.001、I2=0%)、胆道疾患(同1.55、1.08~2.22、P=0.02、I2=0%)、胆囊摘出術(同1.70、1.25~2.32、P<0.001、I2=0%)のリスクもGLP-1 RA治療群で有意に上昇した。一方、胆道がんの有意なリスク上昇は認められなかった(同1.43、0.80~2.56、P=0.22、I2=0%)。

 これらの結果について、同氏らは「胆囊疾患は大部分のGLP-1 RAのRCTで有害事象として検討されているが、胆道疾患に関する報告はまれである。今回の結果に鑑みて、今後のRCTでは胆道関連イベントについても報告すべきである」との見解を示している。

糖尿病治療に比べ、体重減少目的の投与例で高いリスク

 サブグループ解析において、高用量のGLP-1 RAでは胆囊・胆道疾患のリスクが有意に上昇したが(RR 1.56、95%CI 1.36~1.78)、低用量ではリスク上昇が認められなかった(同0.99、0.74~1.33、交互作用のP=0.006)。同様に、長期間(26週間超)のGLP-1 RA使用ではリスクが有意に上昇したが(同1.40、1.26~1.56)、短期間(26週間以下)ではリスク上昇が認められなかった(同0.79、0.48~1.31、交互作用のP=0.03)。

 また、2型糖尿病などの疾患の治療を目的とするGLP-1 RA使用でも胆囊・胆道疾患のリスクは有意に上昇したが(RR 1.27、95%CI 1.14~1.43)、体重減少を目的とするGLP-1 RA使用でより大幅なリスク上昇が見られた(同2.29、1.64~3.18、相互作用のP<0.001)。

絶対リスク上昇率は1万例当たり27例

 なお、GLP-1 RAの製品別に胆囊・胆道疾患リスクとの関連を調べた結果、対照群と比べ、リラグルチド(RR 1.79、95%CI 1.45~2.25、P<0.01)、デュラグルチド(同1.35、1.06~1.73、P=0.02)が有意なリスク上昇と関連していた。セマグルチド皮下注(同1.28、0.99~1.65、P=0.06)、エキセナチド(同1.23、1.00~1.52、P=0.05)はリスクが上昇傾向にあったが、有意ではなかった。一方、セマグルチド経口薬(同0.77、0.45~1.33、P=0.33)、リキシセナチド(同1.30、0.81~2.09、P=0.28)、albiglutide(同1.24、0.78~1.97、P=0.48)にリスク上昇との関連はなかった()。

表. 製品別に見た胆囊・胆道疾患のリスク

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JAMA Intern Med 2022年3月28日オンライン版

 以上を踏まえ、He氏らは「GLP-1 RAの使用は胆囊・胆道疾患のリスク上昇に関連し、特に高用量、長期間、体重減少目的での使用でリスクが高かった」と結論。ただし、「絶対リスク上昇率は小さく(年間治療数1万例当たり27例)、GLP-1 RAによる治療のベネフィットと絶対リスクを勘案すべきである」と付言している。

(太田敦子)