4月1日から不妊治療での使用が保険適用となったレトロゾール(商品名フェマーラ)について、製造販売元のノバルティス ファーマは3月30日、日本産科婦人科学会の公式サイト上で、同薬の適正使用および有害事象の報告について周知依頼を行った。同薬については、動物実験で胎児毒性および催奇形性が認められたことから、原則、日本産科婦人科学会の会員医師の下で使用することや、投与患者から出生した児に先天異常が認められた場合には同社への情報提供を行うことを要請した。

動物実験で胎児毒性、催奇形性を報告

 レトロゾールは2006年1月に閉経後乳がんの治療薬として国内で承認。今年4月1日には「多囊胞性卵巣症候群(PCOS)における排卵誘発」「原因不明不妊における排卵誘発」に対しても保険適用となった。ただし、これらの適応については厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で公知申請に関わる事前評価は終了したものの、薬事承認は得られていないため、添付文書上に記載はない。

 同薬は卵巣のエストロゲン合成酵素のアロマターゼを阻害して、エストロゲンを減少させる作用を有するアロマターゼ阻害薬。エストロゲンによるゴナドトロピン抑制を解除するため、卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌が亢進し、卵胞の発育を促進する。

 ただし、同薬の動物実験において胎児毒性や催奇形性が報告されている。公表論文では、不妊治療を目的として同薬を投与した際の催奇形性リスクは、他の卵巣調節刺激薬や自然妊娠におけるリスクを超えるものではないことが示唆されているものの、市販後安全性報告は情報が限られている。そのため、新たに保険適用となる不妊治療において、同薬投与後の患者から出生した児の先天異常の情報は特に重要であるとして、出生した児に先天異常が認められた際にはノバルティス ファーマへの報告を求めている。

患者に予測されるリスクを説明、理解を得た上で投与を

 レトロゾールの使用に際しては、公知申請への該当性に係る報告書、添付文書、インタビューフォームを確認した上で、不妊治療に十分な知識と経験のある医師の下で、同薬の使用が適切と判断された患者にのみ投与するよう求めている。また、患者には投与開始前に同薬の投与により予測されるリスク、注意すべき症状について説明し、十分に理解した上で投与するよう注意喚起を行っている。

 原因不明不妊は、不妊症全体の10~25%を占め、加齢による卵巣予備能の低下が最も大きな原因とされている。患者の年齢や不妊期間を考慮した上で、個々の患者にとって身体的・精神的負担が少なく、効率の良い治療を行う必要があることから、既存療法は存在するものの、依然として高いアンメット・メディカルニーズが存在する。一方、PCOSはWHO group Ⅱに分類される排卵障害であり、不妊症の原因の1つになりうるとされている。

*2月25日に「生殖補助医療における調節卵巣刺激」の追加効能を取得し、4月1日から保険適用となっている。

(小沼紀子)