英・University of AberdeenのMohamed Abdel‑Fattah氏らは、女性の腹圧性尿失禁治療における中部尿道スリング(MUS)手術に対する単切開ミニスリング(SIMS)手術の非劣性を検討するランダム化比較試験(RCT)SIMSを実施。SIMS手術のMUS手術に対する非劣性が示されたことをN Engl J Med2022; 386: 1230-1243)に報告した。

対象は腹圧性尿失禁を有する18歳以上女性

 女性の腹圧性尿失禁に対する外科治療では、ポリプロピレンメッシュのテープを尿道の裏側を支えるように留置するMUS手術〔恥骨後式中部尿道スリング(TVT)手術または経閉鎖孔式中部尿道スリング(TOT)手術〕が世界的にも主流である。新規の術式であるSIMS手術は短いメッシュを用いるため周術期合併症がMUS手術より少ないとされるが、両者の有効性と安全性を比較したデータは限定的である。2014年にAbdel‑Fattah氏らが報告した3,308例のメタ解析(Eur Urol 2014; 65: 402-27)では、18カ月時点の成功率に両者で差はなかったが、組み入れ研究は小規模かつ不均一でバイアスリスクが高いと考えられた。

 SIMS試験の対象は、英国の21施設における腹圧性尿失禁を有する18歳以上の女性で、保存的治療が非奏効または望まない症例。SIMS手術を実施するSIMS群(298例)とMUS手術を実施するMUS群(298例)にランダムに割り付け、MUS手術に対するSIMS手術の非劣性を検証した。

 主要評価項目はランダム化後15カ月時点の患者報告アウトカム(PRO)による成功率で、非劣性マージンは10%ポイントとした。副次評価項目は、術後疼痛、回復までの期間、24時間パッドテストによる客観的成功率、質問票による重症度・QOL・性機能の評価とした。解析はIntension-to-treatで行った。

リスク差4.6%ポイントで非劣性を証明

 追跡期間は36カ月で、15カ月時点の成功率はMUS群の75.6%に対し、SIMS群では79.1%、調整後リスク差は4.6%ポイント(95%CI −2.7~11.8%ポイント)でSIMS手術の非劣性が認められた(非劣性のP<0.001)。36カ月時点ではそれぞれ66.8%、72.0%と、両群で同等に維持された(調整後リスク差5.7%ポイント、95%CI −1.3~12.8%ポイント)。

 36カ月時点の鼠径部痛・大腿部痛の割合はMUS群の14.9%に対しSIMS群では14.1%と同等だった。15カ月時点の客観的成功率はそれぞれ75.5%、85.7%で、やはり群間差はなかった。

 追跡期間中のテープまたはメッシュの露出は、MUS群の1.9%に対しSIMS群では3.3%で、腹圧性尿失禁の再手術率はそれぞれ1.1%、2.5%だった。QOLと性機能に関する予後は、性交痛(4.8%、11.7%)を除き両群で同等だった。

 重篤な有害事象の発現に両群で差はなかった。鼠径部または大腿部の疼痛の発現率は15カ月時点ではSIMS群がやや高かったが(11.9% vs. 14.9%)、36カ月時点では同等だった(14.9% vs. 14.1%)。

 Abdel‑Fattah氏らは、SIMS試験の結果は3件のRCTを含むこれまでのエビデンスとも一致しているとし、「15カ月時点のPROに基づく成功率で、SIMS手術は標準的なMUS手術に対する非劣性を示し、36カ月追跡後も維持された」と結論。ただし、対象は一部の骨盤臓器脱症例を除外していること、若年齢および非肥満例が多いことから、結果を一般化できない可能性があると付言している。

(小路浩史)