カナダ・University of TorontoのAaron M.Drucker氏らは、2021年6月15日までに発表された、中等症~重症のアトピー性皮膚炎(AD)に対する8週間以上の全身免疫調節治療の有効性と安全性を評価したランダム化比較試験(RCT)60件・1万6, 579例が対象のネットワークメタ解析の結果をJAMA Dermatol2022年3月16日オンライン版)に発表。抗IL-4/13受容体抗体デュピルマブと比較した経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の効果は同等であったものの、アブロシチニブ200mg/日、ウパダシチニブ30mg/日については、デュピルマブよりもわずかに良好な湿疹面積・重症度指数(EASI)スコアの低下が期待できることが示された(関連記事「アトピーの全身療法、新薬の使い分けは?」)。

経口JAK阻害薬などの有効性検証へ

 ADに対する全身免疫調整薬は、シクロスポリン、メトトレキサート(MTX)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチルの他、最近ではデュピルマブや経口JAK阻害薬のアブロシチニブ、バリシチニブ、ウパダシチニブ、およびIL-13阻害薬のtralokinumab(国内承認申請中、カナダや欧米では承認済)が使用されている。

 Drucker氏らが以前に報告したリビングシステマチックレビューとネットワークメタ解析では、中等症~重症の成人のADに対するデュピルマブは高用量のシクロスポリンと同等の有効性を示し、MTXやアザチオプリンよりも優れている可能性が示唆された。一方、有望視されたJAK阻害薬などの相対的な有効性に関するデータは十分でなかったJAMA Dermatol 2020; 156: 659-667。その後も新たなRCTが発表され、同氏らはデータ更新を続けている。

2019年10月以降公開の21試験を追加

 今回の研究では、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、EMBASEなどに2021年6月15日までに掲載された中等症~重症のADを8週間以上治療し、局所抗炎症療法併用の有無にかかわらず全身免疫調整薬を2回以上投与した小児と成人を対象としたRCTを検索。ベイジアンネットワークメタ解析とエビデンスの質の評価(GRADE法*)を実施、2021年6~12月に更新分を解析した。

 主要評価項目は、EASIスコア〔0~72点、minimal clinically important difference(MCID)6.6と定義〕を優先し、ADの自覚症状(POEMスコア0~28点、同 3.4点)、皮膚疾患に特化したQOL評価(DLQIスコア0~30点、同 3.3)および最悪の瘙痒数値評価尺度(PP-NRSスコア0~10点、同2.6)の変化量とした。

 2019年10月のベースライン・レビュー以降、RCT 21件(小児または12歳以上を対象とした8件を含む)が追加され、計60試験・1万6,579例が適格基準を満たしたが、小児のデータはネットワークメタ解析には不十分だった。

 成人の8~16週間の治療では、デュピルマブ600mg(負荷投与量)/300mg隔週皮下投与に比べて、アブロシチニブ200mg/日〔平均差(MD)2.2、95%CI 0.2~4.0:高い確実性〕およびウパダシチニブ30mg/日(同2.7、0.6~4.7:高い確実性)はわずかに良好なEASIスコアの低下効果が推定された。

 一方、アブロシチニブ100mg/日(MD-2.1、95%CI-4.1~0.3:高い確実性)、バリシチニブ4mg/日(同-3.2、-5.7~0.8:高い確実性)、バリシチニブ2mg/日(同-5.2、-7.5~-2.9:高い確実性)およびtralokinumab 600mg、300mg隔週皮下投与(同-3.5、-5.8~1.3:高い確実性)のEASIスコア低下効果はデュピルマブよりもわずかに劣ると推定された。ウパダシチニブ15mg/日とデュピルマブに差はなかった(同0.2、-1.9~2.2:高い確実性)。以上のスコア変化は、POEM、DLQI、PP-NRSスコアの変化についても、同様のパターンが見られた。

直接比較試験と一貫した結果も

 以上の結果から、Drucker氏らは「ADの全身治療に関する最新のリビングシステマチックレビューとネットワークメタ解析では、JAK阻害薬のアブロシチニブ、バリシチニブ、ウパダシチニブおよび生物学的製剤tralokinumabは、RCTにおいてプラセボに比べて臨床指標を改善し、その効果はデュピルマブと同等であることが示された」と結論。

 第Ⅲ相試験における投与開始2週時点の瘙痒の改善について、アブロシチニブ200mg/日はデュピルマブに対する優越性を示したが、100mg/日は優越性は示されなかった(N Engl J Med 2021; 384: 1101-1112)。

 また、第Ⅲb相試験においてウパダシチニブ30mg/日はデュピルマブに対する16週時のEASI75達成率や瘙痒の改善などで優越性を示した(関連記事「アトピーに最強の経口薬ウパダシチニブ」。

 これらを踏まえて、同氏は「ADに対するアブロシチニブ200mg/日およびウパダシチニブ30mg/日は、デュピルマブに比べてわずかに良好なADの臨床指標の改善をもたらす可能性が示されたことは、直接比較試験で裏付けられている。中等症~重症ADの全身治療について、今回われわれが示した相対的効果の推定値は治療法の選択に役立つ可能性がある」と付言している。

(坂田真子)

※Grades of recommendation, assessment, development, and evaluation