デンマーク・Aarhus UniversityのOle Köhler-Forsberg氏らは、同国の双極性障害患者2万2,912例を121万3,695人・年追跡した後ろ向きコホート研究の結果、双極性障害患者は一般人口に比べて骨粗鬆症の発症リスクが高いものの、第一選択の気分安定薬であるリチウム服用群では非服用群と比べてリスクが有意に低下していたとJAMA Psychiatry2022年3月30日オンライン版)に発表した。解析対象とした他の治療薬では骨粗鬆症リスク低下が認められなかった。

一般人口に比べ骨粗鬆症リスク14%増

 Köhler-Forsberg氏らはまず、デンマークの患者登録から1996年1月1日~2019年1月1日に双極性障害と新規に診断された成人2万2,912例(年齢中央値50.4歳、女性56.6%)を抽出した。治療薬の内訳(重複あり)は、リチウムが8,750例(38.2%)、抗精神病薬が1万6,864例(73.6%)、バルプロ酸が3,853例(16.8%)、ラモトリギンが7,588例(33.1%)だった。

 次に、双極性障害患者1例に対し、年齢と性をマッチングさせた双極性障害および骨粗鬆症と診断されていない5例、計11万4,560例を一般人口からランダムに抽出し対照群とした。

 解析では、双極性障害患者群と対照群における骨粗鬆症の発症率を比較した。その結果、121万3,695人・年の追跡期間(1例当たりの追跡期間中央値7.68年、四分位範囲3.72~13.24年)における骨粗鬆症の発症率(1,000人・年当たり)は、対照群の7.90例(95%CI 7.73~8.07例)に対し双極性障害患者群では8.70例(同8.28~9.14例)と高く、リスク上昇との関連が見られた〔ハザード率比(HRR)1.14、95%CI 1.08~1.20〕。

抗精神病薬、バルプロ酸、ラモトリギンでは低下せず

 またリチウム、抗精神病薬、バルプロ酸、ラモトリギン服用群における骨粗鬆症の発症リスクを、それぞれの薬剤の非服用群と比較した。服用中止、骨粗鬆症発症、死亡の発生または2019年1月1日まで追跡した結果、リチウム非服用群に対し服用群では骨粗鬆症リスクが有意に低かった(調整後HRR 0.62、95%CI 0.53~0.72)。また、リチウムの累積服用量が増加するほど骨粗鬆症のリスク低下幅が大きかった(P<0.001、log-rank test)。

 一方、抗精神病薬、バルプロ酸、ラモトリギンの服用群では、それぞれの非服用群に対する骨粗鬆症リスクの有意な低下は認められなかった。

 以上を踏まえ、Köhler-Forsberg氏らは「双極性障害患者は骨粗鬆症の発症リスクが高いものの、リスクはリチウム服用により低下することが示された。今回の結果は、双極性障害患者の臨床管理においては骨の健康を優先すべきであり、リチウムの骨保護作用について詳しく検討すべきであることを示唆している」と結論。具体策として、「骨の健康を維持する生活習慣(禁煙、飲酒量の減少、健康的な食事、運動)の指導や、その他の危険因子を有する患者に対する二重エネルギーX線吸収法による骨密度測定の実施が必要である」と指摘している。

(太田敦子)