横浜市立大学病院化学療法センターセンター長の堀田信之氏らは、日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延前後の自殺による死亡者数の傾向を解析。COVID-19蔓延後、男女とも自殺による死亡者数が増加し、特に若い女性で顕著だったことをJAMA Netw Open(2022; 5: e224739)に発表した。

自殺の増加と失業率の上昇は同傾向

 今回の検討は、厚生労働省の2009年1月~21年9月の死亡統計データを用いて実施。COVID-19蔓延前後の自殺による死亡者数の変化を調査した。

 人口推移を見ると、2009年の1億2,800万人から徐々に減少し、2021年には1億2,600万人となり、この間に平均年齢は43歳から47歳へと徐々に上昇していた。COVID-19蔓延直前の2019年度における人口10万人当たりの自殺件数は男性で20.9、女性で8.7だった。

 年齢層別の2020年度の人口10万人当たりの自殺による死亡率は、2009~19年の実測値を基に算出した推定値と比べ、男性で17%(95%CI 11.4~22.7%)、女性で31%(95%CI 22.8~39.2%)有意に増加していた(全てP<0.001、図1)。この間の失業率は、図2のように推移し、自殺件数の増加と同様の傾向を示した。

図1. 人口10万人当たりの自殺件数の推移(推定値と実測値)

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図2. 失業率の推移

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(横浜市立大学プレスリリース)

2020年7月以降に大きく増加

 前述の推定値と比べて、COVID-19蔓延初期の2020年4~6月における人口10万人当たりの自殺件数に顕著な増加は見られなかったが、2020年7月以降は大きく増加し、女性では2020年4月の0.62に対し2021年4月には0.92、男性ではそれぞれ1.65、1.96だった。とりわけ20歳代の女性の増加が顕著で、2020年4月の0.69に対し2021年4月には1.10だった(20歳代男性ではそれぞれ1.88、2.34)。なお、季節変動とこれらの傾向に関連は認められなかった。

 同グループは「COVID-19のパンデミック発生以降、1年以上にわたり自殺件数が増加していた。コロナ禍を原因とする失業率上昇により、特に社会経済基盤の弱い若年女性を中心に自殺が増加している可能性が示唆される。感染対策と合わせて適切な経済政策を行うことが重要だ」と述べている。  

(編集部)