米・Spero Therapeutics社のPaul B. Eckburg氏らは、耐性菌への感染を含む複雑性尿路感染症または急性腎盂腎炎の入院患者を対象に経口カルバペネム系抗菌薬テビペネムピボキシルの有効性と安全性を第Ⅲ相国際ランダム化二重盲検ダブルダミー非劣性試験で検討した結果、エルタペネム静脈内投与に対するテビペネムピボキシル経口投与の非劣性が示されたとN Engl J Med2022; 386: 1327-1338)に発表した。

耐性菌感染率が24~40%超と高い集団で検討

 同試験では、複雑性尿路感染症または急性腎盂腎炎と診断された18歳以上の入院患者1,372例を登録し、テビペネムピボキシル群(8時間ごとに600mg経口投与)とエルタペネム群(24時間ごとに1g静脈内投与)に1:1でランダムに割り付けて7~10日間(菌血症の患者では最大14日間)治療した。なお、ダブルダミーとして全例に他群のプラセボを投与した。

 ベースラインで尿培養陽性だったテビペネムピボキシル群449例とエルタペネム群419例の計868例(平均年齢58.1歳、女性58.2%)を微生物学的intention-to-treat(ITT)集団に組み入れた。患者の内訳は50.8%が複雑性尿路感染症、49.2%が急性腎盂腎炎で、これらの原因菌の90%超が腸内細菌目細菌だった。また、耐性菌への感染率が高く、24.3%が基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌、39%がフルオロキノロン非感受性菌、43%がトリメトプリム・スルファメトキサゾール耐性菌に感染していた。

 有効性の主要評価項目は、微生物学的ITT集団における治癒判定(test of cure;TOC)時点(治療19±2日目)の総合効果〔臨床的治癒と微生物学的効果の良好判定(尿培養103CFU/mL未満および血液培養の陰性化)の複合〕とした。

臨床的治癒と微生物学的効果の複合でエルタペネムに非劣性

 解析の結果、主要評価項目の総合効果が認められた患者の割合は、エルタペネム群の61.6%に対しテビペネムピボキシル群では58.8%だった(加重差-3.3%ポイント、95%CI -9.7~3.2%ポイント)。2群間の差が事前に設定した非劣性マージン12.5%の範囲内であることから、エルタペネムに対するテビペネムピボキシルの非劣性が示された。

 またTOC時点で臨床的治癒が認められた患者の割合は、エルタペネム群の93.6%に対しテビペネムピボキシル群で93.1%だった(加重差-0.6%ポイント、95%CI -4.0~2.8%ポイント)。同時点で微生物学的効果の判定が不良だった患者の大部分は、無症候性細菌尿で抗菌薬を追加投与されなかった患者だった。

 有害事象の発現率は両群で同等だった(テビペネムピボキシル群25.7% vs. エルタペネム群25.6%)。発現率が最も高かった有害事象は下痢(5.7% vs. 4.4%)、次いで頭痛(両群3.8%)だった。

 以上を踏まえ、Eckburg氏らは「複雑性尿路感染症および急性腎盂腎炎の治療において、テビペネムピボキシル経口投与はエルタペネム静脈内投与に対し非劣性であり、両者の安全性プロファイルは同等であった。耐性菌による複雑性尿路感染症および急性腎盂腎炎に対して有効な経口治療薬が限られている現状において、テビペネムピボキシルが新たな選択肢になる可能性がある」と結論している。

(太田敦子)