不眠症は冠動脈疾患患者の約半数が有しており、主要な心血管イベントの再発に有意に関連することが明らかになった。ノルウェー・University of OsloのLars Aastebøl Frøjd氏らは、同国の冠動脈疾患患者を対象に不眠症と再発性心血管イベントの関係を検討した前向き研究の結果をESC Preventive Cardiology 2022(4月7~9日)で発表した。詳細はSLEEP Advances(2022年4月7日オンライン版)に同時掲載された。

不眠症のMACE再発リスク1.41倍

 不眠症は冠動脈疾患患者で罹患率が高いが、主要な心血管イベント再発に不眠症が及ぼす影響は明らかでなかった。そこでAastebøl Frøjd氏らは、同国の冠動脈疾患患者を対象に不眠症と心血管イベント再発の関係を前向きに検討した。

 対象は、2011~14年に急性心筋梗塞かつ/または冠動脈血行再建術〔経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または冠動脈バイパス術(CABG)〕を施行した患者のうち、2014年2月~15年4月にNORwegian CORonary(NOR-COR)Prevention projectへの参加に同意した1,068例。ベースライン時に、冠動脈疾患危険因子(C反応性蛋白、喫煙、LDLコレステロール、糖尿病、身体活動、腹部周囲径、収縮期血圧)、併存疾患(脳卒中、末梢動脈疾患、腎不全)に関するデータを記録、不眠症は過去1カ月の睡眠障害に関する6つの質問(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害、日中活動の支障、睡眠満足度)で不眠症を診断するBergen Insomnia Scale(BIS:合計スコアの範囲0~42点)で評価。2018年12月1日まで追跡して、不眠症と主要な心血管イベント再発との関係を検討した。

 複合主要評価項目は主要心血管イベント(MACE:心血管死、心筋梗塞による入院、冠動脈血行再建術、心不全)の再発と定義。Cox比例ハザードモデルを用いてインデックスイベント後のMACE再発のハザード比(HR)を算出した。

 ベースライン時の平均年齢は62歳、女性21%。BISの平均スコアは13.9点で、BISの不眠症診断基準を満たしたのは488例(45%)だった。

 平均4.2年間の追跡期間中に346件のMACEが225例で発生。うち39件が心血管疾患関連死だった。

 不眠症のない患者に対する不眠症を有する患者のMACE再発リスクは、年齢、性、過去の冠動脈イベントを調整後は1.62倍(HR 1.62、95%CI 1.24~2.11、P <0 .001)、冠動脈疾患危険因子を追加調整後に1.49倍(同1.49、1.14~1.97、P=0.004)、併存疾患を追加調整後に1.48倍(同1.48、1.12~1.96、P=0.006)、さらに不安とうつの症状を追加調整後に1.41倍(同1.41、1.05~1.89、P=0.0023)となった。

MACE再発への寄与割合は16%

 MACE再発への寄与割合を算出したところ、喫煙歴が最も高く27%、次いで運動不足(中等度の運動30分間を週3回未満)が21%、不眠症は16%と3番目に高かった。Aastebøl Frøjd氏は「これは不眠症がなければ主要な心血管イベントの16%は回避できたことを意味する」と述べた。

 以上を踏まえ、同氏は「不眠症は精神衛生上の問題と関連しているが、われわれの研究の結果から、不眠症は冠動脈疾患患者の約半数が有しており、危険因子、併存疾患、不安やうつの症状などの有無にかかわらず主要な心血管イベントの再発に有意に関連していることが示された」と結論。「したがって、冠動脈疾患患者では不眠症を診断し、適切な管理を行うべきである。また、これらの患者に認知行動療法、治療アプリケーションなどを使用した不眠症治療が効果的かどうかさらに研究を行う必要がある」と付言した。