新型コロナウイルスの新規感染者数が全国的に再び増加傾向に転じつつある。「『第7波』の始まり」(感染症専門家)との見方もあり、政府は感染者が急増している若年層へのワクチン接種を推進。高齢者施設で医師の治療を受けやすい仕組みも講じることで、医療逼迫(ひっぱく)を回避し、社会・経済活動を維持したい考えだ。
 「全国的に見て新規感染者数は1週間以上増加している。『BA.2』への置き換わりにも注意が必要だ」。山際大志郎経済再生担当相は8日の政府分科会でこう述べ、全国的なリバウンド(感染再拡大)への警戒感を示した。
 各地に適用していた「まん延防止等重点措置」は先月22日、全面解除されたが、ひと月足らずで感染者数は反転しつつある。首長からも「第7波に突入した」(玉城デニー沖縄県知事)などの声が出ている。
 リバウンド要因とみられるのが、感染力がより強いとされるオミクロン株の別系統「BA.2」。既に東京都では1週間のBA.2疑いの割合が7割近くに達し、「大型連休後には9割になる」(厚生労働省幹部)との予測もある。
 政府内には「ある程度の感染増は避けられない」(関係者)との見方が支配的。軽症者が多いオミクロン株の特徴も踏まえ、対策の主眼はいかに「波」を低く抑え、経済活動との両立を図るかに移りつつある。行動制限を重視してきた分科会メンバーからも、長期化するコロナ禍に「国のあらゆる分野で余力がなくなりつつある」として、重点措置の再適用には慎重意見が相次ぐ。
 対策のポイントと目されるのが「特に感染増加が顕著」(厚労省専門家会合)な若者へのワクチン追加接種だ。65歳以上の3回目接種完了は8割を超えたが、全体では4割強で、都の20代では2割強にとどまる。日本医師会の釜萢敏常任理事は「接種の予約枠が埋まらないとの声が各地のクリニックから相次ぐ」と話す。政府は大学の集団接種に財政支援するなど、10~20代の接種を促す。
 これまでの感染拡大期では、介護などが必要な高齢者がコロナで入院し、環境の変化で体調が悪化した事例も報告された。厚労省は介護施設でのコロナ感染に医師が往診で対応するなどして、病床の確保を図る方針だ。 (C)時事通信社