【台北時事】全ての新型コロナウイルス感染者の隔離を徹底する「ゼロコロナ」政策を続けてきた台湾政府が、「重症者ゼロ」に対策を移行した。3月下旬から変異株オミクロンの感染が拡大しているためだ。中国・上海でロックダウン(都市封鎖)が続くのと対照的に、隔離措置を緩和して経済や生活への影響を抑えつつ、安定的な医療提供との両立を図る。
 蔡英文総統は6日、フェイスブックで、軽症や無症状で急速に広がるオミクロン株に対しては、「重症者をゼロにし、軽症者を効果的にコントロールする」対策が適していると強調。経済発展と日常生活を維持しながら人命を守る「新台湾方式」だと説明した。
 「重症者ゼロ」では、これまで隔離施設に入ることが必要だった無症状や軽症の患者が自宅で隔離生活を送れるようになる。65歳以下であることなど条件付きだが、生活への影響を減らし、中等症以上の患者をケアする余地を増やす。
 12日の台湾での新規感染者は今年最多の551人で、1日に100人を超えてから2週間足らずで5倍以上に増えた。陳時中・衛生福利部長(厚生労働相)は同日、1日当たりの感染者が月内に1000人を超えるとの見通しを示した。蔡総統も現在、親族1人の陽性が判明したことから14日まで公邸で自主隔離中だ。蔡氏自身はPCR検査で陰性だった。
 台湾のコロナ対策に関する著書もあるコンサルタント会社「アジア市場開発」の藤重太代表は、台湾政府がコロナ禍の初期から「感染ゼロは目標ではなく減災の手段」と位置付けており、状況に応じ次の段階に移ったと解説した。 (C)時事通信社