世界保健機関(WHO)は4月11日、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの単回接種は、2回接種と同等の有効性があると発表した。HPVワクチンの接種率は国によって差があるが、単回接種の有効性が示されたことで特に低中所得国における接種を促進する可能性がある。

全ての国にHPVワクチンの導入求める

 世界で4番目に罹患者が多いがんである子宮頸がんのうち、95%超はHPV感染によって引き起こされる。また、子宮頸がん女性患者の90%は低中所得国在住である。子宮頸がんはHPVワクチンの接種により、ほぼ完全に予防可能ながんといえる。しかし、世界的にワクチンへのアクセスには格差があり、接種率は国によって差が見られる。特に貧困国ではワクチン導入が遅れており、接種率も低いことが懸念される。

 WHOの予防接種に関する戦略的諮問委員会(SAGE)は、HPVワクチンの単回接種の有効性が2回または3回接種と同等であるかどうかをレビューした。その結果、HPVワクチンは単回接種でも2回接種に匹敵する感染予防効果をもたらすことが分かった。

 SAGE委員長のAlejandro Cravioto氏は「HPVワクチンは、子宮頸がんの70%を引き起こすHPV16/18型の予防に極めて効果的だ」と指摘。「SAGEは、全ての国・地域に対しHPVワクチンの導入と未接種女性への接種を求めている。これらを通じてより多くの女性がワクチン接種を受ければ、子宮頸がんの予防が可能になる」と述べている。

 SAGEでは、女性に対するHPVワクチン接種のスケジュールを以下の通り更新することを推奨している。

・9〜14歳:1回または2回
・15〜20歳:1回または2回
・21歳以上:6カ月間隔で2回

 WHOは「ただし、HIV感染者を含む免疫不全者では可能であれば3回、最低でも2回接種する必要がある」としている。免疫不全者におけるHPVワクチン単回接種の有効性に関するエビデンスは限られているという。

目標は2030年までに15歳以下の90%に接種

 HPVワクチンの単回接種は、「2030年までに15歳以下の女性の90%にHPVワクチンを接種する」というWHOの目標達成を早める可能性がある。世界的にHPVワクチンの普及は遅れており、2020年に2回接種を終えていたのはわずか13%であった。その要因として、ワクチンの供給や2回接種プログラムの実施困難、コストの問題などが挙げられる。特に低中所得国ではHPVワクチンのコストの高さが問題となっている。

 WHOは「HPVワクチンの単回接種はコストが安くなる上、ワクチンの供給も少なく済む。そのため複数の年齢層を対象としたキャッチアップキャンペーンの実施が容易になり、子宮頸がん予防の格差が解消される可能性がある」としている。

(慶野 永)