日本アルコンは本日(4月14日)、白内障治療用3焦点眼内レンズ「Clareon PanOptix Trifocal」(以下、Clareon PanOptix)の発売を開始した。これに先立つ4月13日、同社は記者発表会を開催。登壇した東京歯科大学水道橋病院眼科特任教授のビッセン宮島弘子氏は「3焦点眼内レンズは、これまでの臨床報告で良好な結果が得られている。素材とデザインの改良により、さらなる成績の向上が期待される」との見解を示した。(関連記事:「白内障治療で3焦点眼内レンズが登場」

最新素材で高い透明性を実現

 白内障の手術では、水晶体超音波乳化吸引術により混濁した水晶体を破砕・吸引した上で眼内レンズを挿入し、視機能の回復を図る。眼内レンズには1カ所にピントを合わせる単焦点型と複数カ所にピントを合わせる多焦点型があり、日本アルコンは2019年10月に多焦点型としては初の3焦点眼内レンズ「AcrySof IQ PanOptix Trifocal」(以下、AcrySof PanOptix)を発売している。

 このたび登場したClareon PanOptix(写真)は、AcrySof PanOptixの後継モデル。最新の眼内レンズ素材Clareonを用いることで、白内障術後にレンズ内部で生じる水泡やレンズ表面の水滴が抑制され、高い透明性を実現した。またエッジ部のデザインを工夫し、術後に光が反射して大きな光輪や半輪が見える異常光視現象(エッジグレア)の軽減にも成功したという。

写真. 3焦点眼内レンズ「Clareon PanOptix Trifocal」

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(日本アルコン株式会社提供)

コントラスト不足などの注意点も

 日本での白内障治療における3焦点眼内レンズ導入率は10%程度にとどまるが、実臨床では良好な成績が報告されている。宮島氏の施設で3焦点眼内レンズの有用性を検討したところ、各距離別に見た術後視力は40cm〜5mで1.0以上が保たれていた。見え方への満足度は遠方および中間距離が約100%、近方が約80%で、夜間の見え方についても90%以上が「日常生活に問題はない」と回答した。

 一方、3焦点眼内レンズの使用に際しては注意点も存在する。同氏は、①コントラストの不足、②長時間の読書など近方の見えづらさ、③夜間のハロー・グレア現象(光の見え方に生じる不具合)−の3点を挙げ、「術後患者の一部でこうした問題が生じることがあるが、どういったケースで起きるのかは分かっていない」と指摘。「これらが気になる患者に対しては、単焦点型という選択肢があることも忘れないでほしい」と注意喚起した。

 なお、多焦点眼内レンズをめぐっては、2020年3月に先進医療(全額自己負担)の対象から外れ、同年4月には選定療養となり、一部が保険適用、単焦点型との差額分が自己負担となった。

 これまでは民間医療保険の「先進医療特約」に加入していれば実質無料で多焦点眼内レンズの手術が受けられたが、必ずしも全ての白内障患者が対象となるわけではなかった。同氏は「一部に保険が適用されたことで、患者にとって多焦点眼内レンズは手が届きやすくなったのではないか」と指摘した。

(平山茂樹)