本土復帰前年の1971年、約20万人だった沖縄の観光客数は、48年後の2019年に1000万人の大台を突破した。関連産業の裾野が広い観光業は県経済をけん引する原動力となってきたが、新型コロナウイルス禍で状況は一変。県や経済界は、コロナ後の回復へ新たな道筋を模索している。
 琉球政府時代の資料によると、沖縄への旅行者数が年間2万人ほどだった1960年からしばらく、年間を通じて最も旅行者が多かったのは11月だった。太平洋戦争戦没者の慰霊祭などに参加する遺族らの参拝が集中したためで、「沖縄観光は慰霊の旅から始まった」と言われる。
 復帰前後からリゾート目的の観光が増え、最大の繁忙月は夏休み期間に当たる8月にシフト。パスポートが不要になった72年は観光客数が前年比2倍の44万人、沖縄国際海洋博覧会があった75年は155万人超まで増加した。年ごとに落ち込みはあるものの、その後はほぼ右肩上がり。観光収入も72年の324億円から7483億円(2019年)に拡大し、観光業は県のリーディング産業と言われるまでに成長した。
 しかし、コロナ禍で観光需要は蒸発。21年の観光客数は301万人と30年前の水準に落ち込んだ。外国人旅行者は復帰後初のゼロ。収束が見通せない中、業界には沈滞ムードも漂う。
 もっとも、離島を含め空港・港湾の整備は今なお進み、宿泊施設も増えている。観光振興に取り組む沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、「コロナ前より沖縄の観光客受け入れ能力は高まっている」とV字回復に期待を示す。
 今月12日には、西武ホールディングス(HD)が客室数340室の大型リゾートホテル「沖縄プリンスホテル オーシャンビューぎのわん」を宜野湾市にオープンした。プリンスホテルの沖縄進出はこれが初めて。コロナ下の開業となったが、西武HDの後藤高志社長は「沖縄は世界屈指のリゾート地だと確信している。(開業を)ためらうことは全くなかった」と語り、沖縄観光が持つ魅力を強調した。 (C)時事通信社