脳卒中からの回復に向けた、亜急性期患者に対する運動療法の導入は重要だ。中国・Yunnan University of Traditional Chinese MedicineのJie Zhao氏らは、坐位による太極拳の有効性を検証するランダム化比較試験(RCT)を実施。結果を、Stroke2022年4月7日オンライン版)に報告した。

脳卒中患者+介護士のペアで12週の太極拳プログラム別に効果を比較

 脳卒中は中国でも長期にわたる身体機能障害の主な要因となっており、亜急性期におけるリハビリの重要性が指摘されている。Zhao氏らは、同国でなじみの深い太極拳による回復効果を検証するランダム化比較試験を実施した。

 対象は、同国雲南省昆明市の東洋医学専門病院2施設で2020年4〜8月に登録された、脳卒中亜急性期患者(平均年齢62.98歳)と介護士のペア160人。患者は18歳以上の初発脳梗塞後の亜急性期で、自力での坐位保持が可能であることなどを組み入れ基準とした。同様に、介護士は18歳以上で、中国語を話せることなどとした。

 160人を、太極拳集中リハビリ群(対照群)80人と、坐位による太極拳リハビリ群(坐位太極拳群)80人にランダムに割り付け、12週に及ぶリハビリプログラムを行い、上肢運動機能(Fugl-Meyer Assessment Upper Extremity および Wolf Motor Function Test)、平衡感覚(Berg Balance Scale)、坐位での平衡感覚(Trunk Impairment Scale)、抑うつ症状(Geriatric Depression Scale Short Form)などの各評価スコアを、ベースライン、実施中、12週のプログラム終了直後、終了4週後で比較した。

坐位による太極拳で上肢運動機能などが有意に改善

 12週にわたるプログラム終了後の評価スコアを比較したところ、対照群に比べ坐位太極拳群では、パフォーマンス時間(B= −21.415、95%CI −31.000〜−11.831、P=0.001)および機能的能力(同10.146、4.886〜15.406、P=0.001)を含む上肢運動機能や、平衡感覚(同4.972、1.356〜8.588、P=0.007)および坐位での平衡感覚(同4.397、2.699〜6.096、P=0.001)の有意な改善が示された。抑うつ症状も同様に有意な改善が得られた。

 今回の結果から、Zhao氏らは「脳卒中の亜急性期患者における坐位での太極拳リハビリプログラムの有効性が明らかになった」と結論。「臨床現場での導入を後押しする重要な結果であるとともに、今後の研究の足がかりとなるだろう」とコメントしている。

松浦庸夫