ピルビン酸キナーゼ(PK)欠乏症の溶血性貧血に対するファーストインクラスの経口PK活性化因子mitapivatの安全性と有効性が確認された。米・Massachusetts General Hospital/Harvard Medical SchoolのHanny Al-Samkari氏らは、定期的な赤血球輸血を受けていないPK欠乏症患者に対するmitapivatの有効性と安全性を検討した国際共同第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)ACTIVATEの結果をN Engl J Med2022; 386: 1432-1442)に発表。「mitapivat はPK欠乏症に対する初めての疾患修飾薬となった」と述べている。

変異PKを活性・安定化

 PK欠乏症は、赤血球のエネルギーレベルおよび赤血球寿命を維持するために重要な役割を果たすPK酵素をコードするPKLR遺伝子の変異を有する。溶血性貧血を伴うまれな遺伝性の慢性疾患で、生涯にわたる貧血により、慢性的な倦怠感、運動耐容能の低下、職場や学校での集中力の低下を来し、日常生活が困難になる場合もある。ほとんどの患者は、がんや死に至る可能性がある肝臓や心臓の鉄過剰症、骨粗鬆症、胆囊疾患、血栓などの深刻な合併症を発症する。

 mitapivatは、米食品医薬品局(FDA)が成人PK欠乏症の溶血性貧血に対して承認したファーストインクラスの経口赤血球PKアロステリックアクチベータで、慢性貧血や無効造血の原因である酵素欠乏を標的として赤血球で発現する変異PKを活性・安定化させることで酵素の活性を回復させる。

 これまで定期的な赤血球輸血を受けていない成人PK欠乏症患者52例を対象とした第Ⅱ相試験DRIVE-PKにおいて、mitapivatは約半数の患者でベースラインから早期にヘモグロビン値を1g/dL以上上昇させた(N Engl J Med 2019; 381: 933-944)。PKLR遺伝子のR479H 変異ホモ接合体を有する5例と2つのノンミスセンス変異を有する5例では反応が認められなかったが、42カ月間の長期使用においてmitapivatによる溶血マーカーの改善および安全性が確認された。

 これらの結果に基づきAl-Samkari氏らは今回、欧米、アジア、中東で登録した定期的な赤血球輸血を受けていないPK欠乏症患者を対象に、mitapivatの有効性と安全性を検討する国際共同第Ⅲ相二重盲検RCT ACTIVATEを実施した。

ヘモグロビン反応が有意に上昇

 ACTIVATE試験では、PK欠乏症患者80例を1:1でmitapivat群とプラセボ群にランダムに割り付けた。mitapivat群では、同薬を5mg 1日2回から開始、20mg/50mg 1日2回まで漸増可能とし、24週間投与した。

 主要評価項目は、16、20、24週時に予定した評価で、ヘモグロビン反応(ヘモグロビン値のベースラインから1.5g/dL以上の上昇)の持続が2回以上認められることとした。副次評価項目は、ヘモグロビン値、溶血マーカー、造血マーカーのベースラインからの変化量の平均値〔最小二乗平均値(LSM)〕、24週時での2つの疾患特異的な患者報告アウトカム指標〔PK欠乏日記(PKDD)、PK欠乏症インパクト評価(PKDIA)〕のベースラインからの変化量とした。

 検討の結果、ヘモグロビン反応はmitapivat群では40例中16例(40%)に認められたのに対し、プラセボ群では1例も認められなかった(補正後の差39.3%ポイント、95%CI 24.1~54.6%ポイント、両側P<0.001)。

QOLも有意に改善

 副次評価項目についてもmitapivat群で有意な効果が認められた。ヘモグロビン値のベースラインからの変化量はプラセボ群(LSM -0.1g/dL、95%CI-0.6~0.3g/dL)に比べてmitapivat群(同1.7g/dL、1.3~2.1g/dL)で有意に大きかった(LSM差1.8 g/dL、95%CI 1.2~2.4g/dL、P<0.001)。

 PKDDとPKDIAで評価した患者のQOLは、mitapivat群で有意に高かった。

 有害事象について、特に頻度が高かったのは悪心〔mitapivat群7例(18%)、プラセボ群9例(23%)〕と頭痛〔それぞれ6例(15%)、13例(33%)〕であった。グレード3以上の有害事象は、mitapivat群の10例(25%)とプラセボ群の5例(13%)に発現した。

 以上から、Al-Samkari氏は「PK欠乏症患者に対するmitapivatの投与により、安全にヘモグロビン値が有意に上昇し、溶血が抑制され、患者のQOLが改善した」と結論。「これまでPK欠乏症患者に対する治療には輸血や脾臓切除などの対症療法しかなかったが、mitapivatはPK欠乏に関連する貧血およびその他の合併症を改善する初めての疾患修飾薬となった」と述べている。

(大江 円)