今月(2022年4月)にヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種の積極的勧奨が再開されたことを受け、2価および4価HPVワクチン(商品名サーバリックス、ガーダシル)の製造販売元であるグラクソスミ・スクライン、MSDの両社は、同ワクチン接種後に失神が生じる場合があり、頭部打撲、鼻骨骨折などの二次被害が生じているとして失神による転倒防止対策を行うよう医療従事者に呼びかけている。

多くは接種後15分以内に発現

 HPVワクチンによって生じる失神は、痛み、恐怖、興奮などに引き続く血管迷走神経反射が原因とされている。接種直後や15分以内での発現が多いとされるが、接種から15分以上経過後に発現した例も報告されている。好発年齢は10歳代が多く、発現例の過半数を占める。

 失神により転倒し、外傷を負った例もある。頭部打撲、鼻骨骨折に至った症例も報告されており、これらの多くは立っていたり、移動のために立ち上がったり、背もたれや肘かけなどがない待合室の長椅子や診察室の丸椅子などで待機させた場合に起こっているという。また、背もたれがあっても前方に倒れ込む形で転倒し、外傷を負った例も報告されている。

転倒を回避する対策を

 そのため、注射への恐怖心が強い人などに接種する際には注意が必要とした上で、失神による転倒を回避する対策として、①接種後の移動の際には、医療従事者または保護者などが被接種者の腕を持つなどして付き添うようにする、②接種後30分程度は体重を預けられるような場所で、なるべく立ち上がることを避けて待機してもらうーなどを指導するよう要請した。

 さらに、万が一失神が起きた場合の対処法も紹介。下肢を軽く挙上し安静臥床させるとともに、必要に応じて輸液や酸素投与を行うよう求めている。

(小沼紀子)