イスラエル・Clalit Health Services(CHS)のOri Magen氏らは、国民の半数超(470万人超)が加入する同国最大の保険組織であるCHSが収集した60歳以上の加入者データを用い、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するファイザー製ワクチン(トジナメラン)4回接種の短期(接種後1カ月)有効性を検討。その結果、4回目接種群は3回接種群と比べてSARS-CoV-2感染、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症および重症化、COVID-19関連の入院および死亡のリスクが低かったとN Engl J Med2022年4月13日オンライン版)に発表した(関連記事「ワクチン4回接種で感染・重症化が抑制」)。

併存疾患など考慮し3回接種と比較

 イスラエルでは2022年1月、ワクチン3回目接種から4カ月以上が経過した高リスク群(60歳以上および免疫不全状態の者)に対する4回目接種が承認された。最新の研究で、ワクチン4回接種は3回接種と比べてSARS-CoV-2感染およびCOVID-19重症化の抑制効果が大きいことが示されていた。しかし、COVID-19関連入院・関連死の抑制効果の検討は研究に含まれておらず、併存疾患などの重要な交絡因子も調整されていなかった。

 今回の解析対象は、オミクロン株が優勢だった2022年1月3日~2月18日に4回目接種の条件を満たし、SARS-CoV-2感染歴がない医療従事者以外の60歳以上のCHS加入者。4回接種群18万2,122例(年齢中央値72歳、女性53%)と、年齢、性、居住地域・集団、3回目接種月、米疾病対策センター(CDC)が重症COVID-19の危険因子と定義した併存疾患の数、直近3年間の入院回数でマッチングした対照群(3回接種済みで4回目未接種)18万2,122例を解析に組み入れた。

 評価項目はSARS-CoV-2感染(PCR検査による確定診断)、症候性COVID-19、COVID-19関連入院、重症COVID-19、COVID-19関連死とし、これらの2群間のリスク比を算出して、ワクチンの相対的有効性(評価項目の抑制効果)を検証した。

COVID-19関連入院・死亡を70%前後抑制

 4回目接種後7~30日の各評価項目に対するワクチンの相対的有効性は、SARS-CoV-2感染で45%(95%CI 44~47%)、症候性COVID-19で55%(同53~58%)、COVID-19関連入院で68%(同59~74%)、重症COVID-19で62%(同50~74%)、COVID-19関連死で74%(同50~90%)だった。同期間中の絶対リスク(10万人当たりイベント数)は、COVID-19関連入院が対照群266.7 vs. 4回接種群86.6(絶対リスク差180.1、95%CI 142.8~211.9)、重症COVID-19が110.8 vs. 42.1(同68.8、48.5~91.9)だった。

 4回目接種後14~30日の相対的有効性は、SARS-CoV-2感染で52%(95%CI 49~54%)、症候性COVID-19で61%(同58~64%)、COVID-19関連入院で72%(同63~79%)、重症COVID-19で64%(同48~77%)、COVID-19関連死で76%(同48~91%)だった。

ワクチンの効果は接種後7日目から発現

 また、4回目接種日から接種後30日までの各評価項目の累積発生率曲線を解析した結果、全ての項目で4回目接種後ほぼ7日目から2群の差が拡大し始めることが示された。SARS-CoV-2感染に対するワクチン4回目接種の相対的有効性は接種後7日目から徐々に高まり、14日目までに約50%に達して以降は安定した状態が続いた。

 以上を踏まえ、Magen氏らは「60歳以上の高齢者において、トジナメランの4回接種は3回接種と比べてSARS-CoV-2感染、症候性COVID-19、COVID-19関連入院、重症COVID-19、COVID-19関連死の抑制効果が大きかった。今後の追跡で長期的な抑制効果を評価する必要がある」と結論している。

(太田敦子)