新型コロナウイルスワクチンの4回目接種をめぐり、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人に対象を絞るべきだとの意見が政府・与党で強まってきた。海外から得られた知見として、若年層への効果は高くないことが分かってきたためだ。政府は早ければ5月下旬の接種開始を想定しており、月内にも方向性を示したい考えだ。
 自民党のワクチン対策プロジェクトチームは19日、4回目接種について「イスラエルや先進7カ国(G7)と同様に、高齢者や基礎疾患を持つ人を対象に進めるべきだ」との提言をまとめた。健康な若者や子どもに4回目接種を求める選択肢は「政策的意義が少ない」との分析を示した。
 首相官邸の政府関係者も「対象限定はあり得る」と指摘。感染症専門家の一部からも「一律接種は必要ない」との声が上がった。
 対象限定論の背景には、4回目接種をいち早く始めたイスラエルの研究結果がある。それによると、4回目接種に期待できるのは主に重症化予防効果。若者はオミクロン株に感染しても重症化しにくいことを踏まえ、自民党関係者は「3回目接種後の重症化リスクは極めて低い」と言い切る。
 英国、フランス、ドイツ、米国などでも今年に入り、「75歳以上」「50歳以上」などと対象者を絞った4回目接種が始まっている。首相周辺は「海外の動向も参考にする」と語った。
 岸田文雄首相は3月16日の記者会見で、4回目接種用のワクチン1億4500万回分の追加購入を発表。厚生労働省は同月下旬、4回目接種のための会場や接種券などの準備を5月下旬をめどに終えるよう地方自治体に通知している。
 松野博一官房長官は19日の記者会見で「最新の科学的知見や諸外国の対応状況を注視しながら、対象者などについて検討を進めたい」と表明。首相周辺は「自治体に準備を求める以上、4月末からの大型連休前に一定の方向性を示さなければならない」と述べ、判断を急ぐ考えを示した。 (C)時事通信社