50歳以上の成人に対する帯状疱疹ワクチンの有効性について、ニュージーランド・Victoria University of WellingtonのJames F.Mbinta氏らは、実臨床で生ワクチン(商品名Zostavax、以下、ZVL)または乾燥組み換えワクチンのシングリックス(以下、RZV)と各ワクチン非接種例を比較したシステマチックレビューおよびメタ解析の結果をLancet Healthy Longev(2022; 3: e263-e275)に発表した。観察研究22件・953万例超を定量分析に含め、13件を対象にメタ解析を行った結果、ZVLは帯状疱疹の発症を45.9%抑制し、帯状疱疹後神経痛(PHN)の予防に有効であることが示された。また2020年12月以降に発表された観察研究2件の事後解析では、RZVの帯状疱疹に対するプールした有効性は79.2%と推定された(関連記事「帯状疱疹予防ワクチン2剤の特徴は?」)。

20~40歳代でも増加傾向にある帯状疱疹

 帯状疱疹は、生涯のうち3人に1人が罹患するリスクとされ、患者の3分の2を50歳以上が占める。帯状疱疹による10万・年当たり入院率は2~25で、85歳以上では65に上昇する。一方、日本国内の罹患率は高齢者だけでなく、20~40歳代も上昇傾向にあるとされる(関連記事「帯状疱疹ワクチン:高齢社会での戦略」)。

 今回のシステマチックレビューとメタ解析では、ZVLが承認された2006年5月~20年12月にMEDLINE、EMBASE Cochrane Libraryなどに掲載された研究に加えて、未発表研究や灰色文献も検索した。適格基準は、50歳以上を対象に承認された帯状疱疹ワクチン(ZVLおよびRZV)の有効性を、ワクチン非接種または他のワクチンと比較したコホート研究および症例対照研究とした。

 変量効果メタ解析モデルを使用し、主要評価項目(帯状疱疹、PHN、眼部帯状疱疹の複合)に対するプールしたワクチンの有効性を推定した。事後解析として2021年1月に追加の文献検索を行った。

帯状疱疹後神経痛に対するZVLの有効性は59.7%

 抽出した研究1,240件をスクリーニング後、適格基準を満たした22件(英米、カナダ、スウェーデンで実施されたコホート研究21件と症例対照研究1件)・953万6,086例を定量分析の対象とし、Cox比例ハザードモデルを用いていない9件を除く13件をメタ解析の対象とした。研究期間は15~198カ月だった。

 主要評価項目におけるエビデンスの質は全体的に極めて低かった。コホート研究7件のメタ解析の結果、ZVLの帯状疱疹の予防に対する有効性が示された(ワクチンの有効性45.9%、95%CI 42.2~49.4%)。また、コホート研究3件のメタ解析の結果、ZVLのPHNに対する有効性は59.7%(同48.3~68.7%)と推定された。

 眼部帯状疱疹に対しては、変量効果モデルによるコホート研究2件のメタ解析の結果、ZVLの有意な有効性は示されなかったが、固定効果モデルでは有効性は30%(95%CI 20.5~38.4)と推定された。

糖尿病などの併存疾患有例にも有効

 ZVLの有効性は、60~69歳で最も高い50.9% (同45.0~56.1%)で、80歳以上で最も低い43.9%(同37.7~49.5%)だった。また、接種後1年目の有効性は60.0%(95%CI 13.6 ~77.6)だったが、接種後6年目には50.8%(同11.4~72.9%)に低下した。

 併存疾患を有する例でもZVLの接種は帯状疱疹の予防に効果的だった。有効性は糖尿病で49.8%(95%CI 45.1~54.1%、研究数3件)、慢性腎臓病で54.3%(同49.0~59.1%、4件)、肝疾患で52.9%(同41.6~62.1%、2件)、心疾患で52.3% (同45.0~58.7%、2件)、肺疾患で49.0%(32.2~66.2%、2件)に上った。ただし、メタ解析の50%で高い異質性(I2≧75%)が観察された。

RZVの有効性および長期的な保護効果の評価を

 事後解析では、2020年12月以降にRZVを評価した米国のコホート研究2件を変量効果メタ解析モデルにより検討。その結果、50歳以上の帯状疱疹に対するRZVの有効性は79.2%(95%CI 57.6~89.7)と推定された。

 以上の結果から、Mbinta氏らは「実臨床において、ZVLは50歳以上の成人の帯状疱疹、眼部帯状疱疹およびPHNを効果的に予防し、RZVは帯状疱疹リスクを低減することが示された。ただし、全ての結果についてエビデンスの質は低かったと結論付けた。

 今回の研究の意義について、同氏らは「一般的にワクチンは医学生理学的に不均一な集団に接種され、医療環境に影響される。われわれの結果には臨床試験のエビデンスを補完するための実臨床データも含まれているため、日常臨床に一般化できる」と指摘した上で、「帯状疱疹、眼部帯状疱疹、PHN(免疫機能が正常および免疫機能不全の場合)に対するRZVの有効性および長期的な保護効果を評価するには、十分な検出力を持つ観察研究が必要である」と付言している。

(坂田真子)