カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指す大阪府・市と長崎県の両地域は、関係議会の承認を得た整備計画を28日の期限までに国へ申請する。両地域ともIRを「地元経済を活性化する起爆剤」と位置付けるが、カジノを収益の中心とするため住民の賛否は割れる。新型コロナウイルス禍で国内外の観光需要が激減し、娯楽の在り方も変わる中、計画通りの経済効果が得られるか疑問符も付く。
 ◇横浜は撤回、和歌山は頓挫
 IRは、安倍政権下で訪日外国人を呼び込む目玉政策として打ち出された。施設内のカジノで金銭を賭けても刑法の賭博罪を適用しないなど規制緩和を盛り込んだ実施法が2018年7月に成立。政府は年内にも最大3カ所選ぶ方針だったが、横浜市などは誘致方針を撤回し、和歌山県は申請期限直前で頓挫。候補は大阪と長崎のみとなった。
 国は今後計画を審査するが、ポイントは「経済効果が過大に見積もられていないかどうか」(政府関係者)だ。コロナ終息を見越して年間来訪者数は大阪約2000万人、長崎約673万人。年間の経済波及効果は、大阪が近畿圏全体で約1兆1400億円、長崎は約3300億円とはじく。
 大阪の来訪者数はコロナ禍前の東京ディズニーリゾート(約2900万人)に迫る数で、反対派の市民団体は「カジノが国民的な娯楽施設になるとは思えない」と批判。コロナで生活様式が変化し、海外でオンラインカジノが急成長していることも逆風となりかねない。
 長崎では施設整備などで必要となる資金約4383億円について、融資する金融機関の詳細が明記されなかった。県議からは「公表しないことが(審査で)マイナスポイントにならないか」との声が上がった。
 ◇公費投入しないはずが…
 大阪では、建設予定地の大阪市の人工島「夢洲」に液状化などの問題が発覚。市が約790億円の公費を投じて土壌改良することになった。吉村洋文府知事や松井一郎市長は「IRに公費は投入しない」と明言していただけに3月の市議会の審議は紛糾。自民党が計画の採決で反対に回った。
 先の市民団体は、IR計画の是非を問う住民投票を求める署名運動も展開している。関係者の間で大阪を「本命」とみる向きもあるが、さらなる追加負担への懸念が広がれば、IRが来春の知事選や市長選の主要争点になる可能性がある。 (C)時事通信社