カナダ・Sunnybrook Research InstituteのJessica Widdifield氏らは、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)の4つの炎症性自己免疫疾患患者を対象に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンの有効性を検証するカナダ在住者を母集団とした解析を実施。いずれにおいても有効なSARS-CoV-2感染抑制、重症化抑制の効果が認められた。詳細はLancet Rheumatol2022年4月14日オンライン版)に掲載された。

アルファ株とデルタ株流行期の効果を検討

 Widdifield氏らは、カナダ・オンタリオ州の医療・行政データベースから、2021年3月1日~11月22日にSARS-CoV-2のPCR検査を受けた16歳以上の前記4疾患患者のデータを収集し、陽性例を症例、陰性例を対照とする症例対照研究を実施。多変量ロジスティック回帰を用い、mRNAワクチン(トジナメランまたはエラソメラン)の1、2、3回目接種において、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19重症化(COVID-19による入院・死亡と定義)の抑制効果を4疾患ごとに検討した。

 オンタリオ州の人口はカナダ全人口の約4割に相当する。対象期間は同州で全年齢層にワクチンが行き渡り始めた時期であり、当時の流行の主体はアルファ株およびデルタ株で、今回の検討にはオミクロン株のデータは含まれていない。また、検討対象をmRNAワクチンに限定したのは、同州の炎症性自己免疫疾患患者のほとんどが同ワクチンを接種しているためである。

感染79%以上抑制、重症化92%以上抑制

 対象期間中にPCR検査結果が陽性だったのは、RA患者3万6,145例(平均年齢61.2歳、女性73.2%)中2,127例(5.9%)、AS患者7,863例(平均年齢52.5歳、女性52.5%)中476例(6.1%)、乾癬患者4万7,199例(平均年齢53.3歳、女性55.2%)中3,089例(6.5%)、IBD患者3万1,311例(平均年齢50.9歳、女性56.6%)中1,702例(5.4%)だった。交絡因子を調整後、ワクチン2回接種によるSARS-CoV-2感染抑制効果はそれぞれ83%(95%CI 80~86%)、89%(同83~93%)、84%(同81~86%)、79%(同74~82%)だった。全般的に、2回目接種後の感染抑制効果は31~60日後に最大となり、その後は減弱した。

 COVID-19が重症化したのは、RA患者の16.5%、AS患者の10.5%、乾癬患者の9.6%、IBD患者の11.5%だった。ワクチン2回接種による重症化抑制効果はそれぞれ92%(95%CI 88~95%)、97%(同83~99%)、92%(同86~95%)、94%(同88~97%)だった。

 3回接種の感染抑制効果は2回接種と同等もしくは高かった〔RA患者86%(95%CI 70〜94%)、AS患者82%(同20〜96%)、乾癬患者96%(同72~99%)、IBD患者76%(同47~89%)〕。

炎症性自己免疫疾患でも2回以上接種で高いベネフィット

 Widdifield氏らは「RA、AS、乾癬、IBD患者に対するSARS-CoV-2 mRNAワクチンの2回接種は、SARS-CoV-2感染とCOVID-19重症化の抑制に極めて有効だった」と結論し、「3回接種の効果の持続性、特に新たな変異株に対する効果の特定には、さらなる研究が必要である」と付言している。

 米・Brigham and Women's HospitalのJeffrey A. Sparks氏らは、同誌の付随論評(2022年4月14日オンライン版)で「炎症性自己免疫疾患患者におけるSARS-CoV-2ワクチンの効果の高さに関して直接的なエビデンスを得られたことは、ワクチン忌避者への対策にも役立つだろう」とコメントしている。

(小路浩史)