現在、アルブミン懸濁型パクリタキセル(nab-パクリタキセル、商品名アブラキサン点滴静注用 100mg)の出荷調整(関連記事:「nab-パクリタキセル、6月目途に出荷調整解除」)の影響により静注用フルオロウラシル(5-FU)の流通量が不足している。そのため、同薬を扱う医療施設では、治療に深刻な影響が出ている。日本臨床腫瘍学会は4月21日、製造販売元の協和キリンと東和薬品の2社にヒアリングなどをしたことを発表。2社ともに昨年(2021年)8月ごろより出荷調整を行い、新規契約を見合わせるなどの措置をしていることを報告した。

いっそうの適正使用の推進とともに、代替レジメンの検討を

 日本臨床腫瘍学会が今回2社にヒアリングを行った結果、①供給量は不足しつつも、各施設の出荷調整開始前の出荷量を基に特約店への出荷を継続している、②これまでの出荷量の実績により施設ごとの出荷量に差は出るが、施設の規模や形態による差別は行っていない、③メーカーや特約店に在庫を置くことはせず、製造されたものは直ちに流通させている-ことが確認された。

 これを受け、同学会は「メーカーの増産体制には限界があり、独占禁止法により特約店などを介した施設間融通ができないため、しばらくは特別な解決策は期待できないと思われる」とした一方で、「現在の各施設への出荷量は出荷調整開始前の出荷量を基準に決めているため、患者数の動向により不足が深刻な施設と比較的余裕がある施設が生じている可能性がある」との見解を示した。

 その上で、同学会は学会員に対し、全身状態、臓器機能、患者の病態など、薬物療法の医学的適応に応じて5-FUのよりいっそうの適正使用の推進を求めるとともに、不足により5-FUが使えない場合は、医学的に妥当な範囲で代替レジメンを検討し、状況によっては余裕のある近隣の施設に患者を紹介することも検討してほしいと呼びかけている。

(小野寺尊允)