米・University of Colorado School of MedicineのMyron J. Levin氏らは、アストラゼネカの長時間作用型抗体薬tixagevimab/cilgavimab(以下、AZD7442)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防効果と安全性を検討する第Ⅲ相ランダム化比較試験PROVENTの一次解析結果の詳細をN Engl J Med2022年4月20日オンライン版)で報告(関連記事「新規抗体医薬でコロナ発症リスク77%減」)。AZD7442単回投与は安全性の懸念なしにCOVID-19の予防に有効であることから、米食品医薬品局(FDA)は、既に昨年(2021年)12月に同薬の緊急使用を許可、今年になり追加供給を決めている。

5カ国87施設で5,000例超をランダム化

 現在の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行株の状況はPROVENT試験の実施当時から変化しているが、AZD7442はオミクロン株BA.2系統に対してある程度の中和活性を維持し(関連記事「オミ株BA.2にも抗体薬、抗ウイルス薬は有用」)、半減期が約90日の長時間作用型かつ筋肉内投与製剤であるという特徴に鑑みれば、ワクチンへの反応が不十分な可能性のある高リスク者に対するCOVID-19予防において、今後も一定の役割を担うと思われる。また、AZD7442は、別の第III相試験TACKLEにおいて軽度~中等度のCOVID-19患者の重症化・死亡リスクを低下させることが示されている。

 PROVENT試験では、2020年11月~21年3月に5カ国87施設において、SARS-CoV-2に感染していない18歳以上の健康人で、ワクチンに対する反応不十分リスクが高いか、SARS-CoV-2曝露リスクが高い、もしくは両方に該当する者を登録。AZD7442 300mgを単回投与するAZD7442群(3,460例)と対照群(1,737例)に二重盲検下で2:1にランダム化し、6カ月間追跡した。安全性の主要評価項目はAZD7442単回投与後の有害事象の発生率、有効性の主要評価項目はAZD7442またはプラセボ投与から183日後までの症候性COVID-19発症とした。

6カ月の長期追跡で発症リスク83%低下

 主解析は、参加者の30%で盲検を解除した時点で実施された。1件以上の有害事象が認められたのはAZD7442群の35.3%、対照群の34.2%で、ほとんどは軽度~中等度であった。

 症候性COVID-19はAZD7442群では8例(0.2%)、対照群では17例(1.0%)に認められた。AZD7442群における相対リスク低下率は76.7%(95%CI 46.0〜90.0%、P<0.001)だった。中央値6カ月の長期追跡では、相対リスクが82.8%(95%CI 65.8〜91.4%)低下した。COVID-19重症例はいずれもプラセボ群の5例で発生し、うち2例が死亡した。

 Levin氏らは「AZD7442の単回投与はCOVID-19予防に有効であり、かつ明らかな安全性の懸念を生じさせなかった」と結論。同試験の長所については、60歳以上の者や重症化リスクの高い者を含む多様な集団を登録したことを挙げている。一方で、試験の進行につれワクチンの有効性が明らかとなり、参加者にワクチン接種の選択肢を与えるために、当初の予定より多くの参加者の盲検を解かなければならず、結果的に長期追跡が可能な人数が減少したことを限界としている。

(小路浩史)