政府が26日決定した物価高騰対策には、国会の議決を経ずに政府の判断で使用できる予備費から1.5兆円支出することが盛り込まれた。使用した分は2022年度補正予算案で補充し、新型コロナウイルス対策の予備費は原油高対策などにも使用できるよう「衣替え」する。予備費の使途が拡大され、夏の参院選を控えて財政規律は一段と緩んでいる。
 22年度当初予算では、コロナ予備費を5兆円、自然災害など不測の事態に備えた一般予備費を5000億円それぞれ計上。今回の支出後も両予備費は当初の水準を確保する。
 岸田文雄首相は26日の記者会見で、予備費の補充について「さらなる状況悪化など、いかなる事態が生じても迅速に対応できる」と強調。内閣府幹部は使途拡大に関し「コロナと物価高騰の両方の影響を受けており、機動的に対応する」と説明する。
 ただ、国会審議を経ない予備費への依存には財政民主主義の観点から懸念の声が出ている。第一生命経済研究所の星野卓也主任エコノミストは、コロナ予備費については「経験がないパンデミック(世界的大流行)への対応で正当性があった」と理解を示しつつ、「今後の予備費の運用方法ではコンセンサスが必要だ」と語る。
 一橋大の佐藤主光教授(財政学)は「コロナ対策として予備費を積んだのに、感染収束が見通せない中で使途を変更していいのか」と指摘。「有効な支出だったのか事後的な検証が必要だ」と無駄遣いのチェックを求めている。 (C)時事通信社