明石医療センター(兵庫県)循環器内科の黒田優氏らは、出血リスクが高いため経口抗凝固薬の標準用量投与が不適切と判断された80歳以上の日本人心房細動(AF)患者を対象に、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)エドキサバンの有効性を評価した第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験ELDERCARE-AFのサブ解析を実施。その結果、90歳以上を含む全ての高齢患者において、低用量エドキサバン(15mg 1日1回投与)により脳卒中および全身性塞栓症のリスクが低下したとJAMA Cardiol2022年4月13日オンライン版)に発表した。

80~84歳、85~89歳、90歳以上に分け、プラセボ群と比較

 ELDERCARE-AF試験では、国内164施設で出血リスクのため経口抗凝固薬の標準用量投与の不適格例と判断された80歳以上の日本人AF患者984例(女性57.4%)を登録。エドキサバン群とプラセボ群に1:1でランダムに割り付けて治療した。主解析では、低用量エドキサバンが脳卒中および全身性塞栓症をプラセボに比べて有意に抑制することが示されたが、90歳以上の超高齢者でも同様の抑制効果が得られるかどうかは分かっていなかった。

 黒田氏らは今回、事前に設定された3つの年齢層①80~84歳(平均年齢82.2歳)、②85~89歳(同86.8歳)、③90歳以上(同92.3歳)ーでサブ解析を行った。有効性の主要評価項目は脳卒中または全身性塞栓症の複合イベント、安全性の主要評価項目は国際血栓止血学会(ISTH)の基準による大出血とした。

全年齢層で脳卒中および全身性塞栓症を抑制

 解析の結果、プラセボ群における複合イベント発生率は、80~84歳で3.9%/年(181例中10例)、85~89歳で7.3%/年(184例中18例)、90歳以上で10.1%/年(127例中16例)だった。発生率は年齢とともに上昇したが、ベースラインの患者背景を調整後は有意差がなくなった。

 エドキサバン群における複合イベント発生率は、80~84歳で1.6%/年(173例中4例)、85~89歳で2.8%/年(190例中7例)、90歳以上で2.4%/年(129例中4例)だった。

 全年齢層においてプラセボ群と比べてエドキサバン群で発生率が低く、ハザード比(HR)は80~84歳で0.41(95%CI 0.13~1.31、P=0.13)、85~89歳で0.42(同0.17~0.99、P=0.05)、90歳以上で0.23(同0.08~0.68、P=0.008)と算出されたが、年齢との交互作用は認められなかった(交互作用のP=0.65)。

90歳以上で消化管出血が増加

 大出血の発生率は、プラセボ群の80~84歳で0.4%/年(180例中1例)、85~89歳で3.0%/年(183例中7例)、90歳以上で2.1%/年(127例中3例)、エドキサバン群ではそれぞれ2.2%/年(173例中5例)、2.2%/年(190例中5例)、90歳以上で6.5%/年(129例中10例)とエドキサバン群で高かったが、有意な差はなかった。HRは80~84歳で5.27(95%CI 0.61~45.36、P=0.13)、85~89歳で0.74(同0.24~2.33、P=0.61)、90歳以上で3.02(同0.82~11.21、P=0.10)と、年齢との交互作用は認められなかった(交互作用のP=0.15)。

 ただし、90歳以上では両群で大出血が13例(消化管出血10例)に発生、うち9例がエドキサバン群だった(エドキサバン群5.9%/年 vs. プラセボ群0.7%/年、HR 8.37、95%CI 1.04~67.07、P=0.05)。

 全死亡率は全年齢層で有意な差がなく、HRは80~84歳で1.28(95%CI 0.62~2.67、P=0.50)、85~89歳で0.91(同0.53~1.53、P=0.71)、90歳以上で0.86(同0.49~1.51、P=0.60)だった(交互作用のP=0.65)。

 以上を踏まえ、黒田氏らは「エドキサバン15mg /日は、出血リスクを有する超高齢の日本人AF患者に対する有効な治療選択肢になりうる」と結論。ただし、「エドキサバン群で致死的出血の発生はなかったとはいえ、超高齢者への低用量エドキサバン投与に際しては出血、特に消化管出血のリスクに注意する必要がある」と付言している。

(太田敦子)